〇乳酸菌酵母分泌物
乳酸菌生産物質が乳酸菌を培養・発酵させて作るのに対して、乳酸菌酵母分泌物は原料のベースに乳酸菌なと酵母菌の2つの菌を使い、両者を「共棲培養」という技術で発酵させる。乳酸菌と酵母菌はともに腸内細菌の善玉菌で、お互いの分泌物(生産物質)をエサとして繁殖するという特徴がある。すなわち、2つの菌を一緒に培養すると、乳酸菌だけの時より発酵が飛躍的に促進されるわけである。
この乳酸菌酵母分泌物を生み出す母体となったのは、農学博士・小牧久時(現・国際地球環境大学名誉総長)が開発し、1988年に「腸内細菌叢を改善する健康食品製造法」として特許をとった「小牧原液」である。小牧は乳酸菌がなかなか腸まで到達できないという問題を解決するにあたり、腸内では乳酸菌は酵母菌の分泌物の助けを借りて繁殖し、酵母菌もまた乳酸菌の分泌物の助けを借りて繁殖している、という事実から推論を組み立てた。「乳酸菌と酵母菌、双方の微生物は分泌物を挟んで共栄共存の関係にある。そうであるなら、より大切なのは乳酸菌、酵母菌の生きた菌体ではなく双方の菌体成分である。分泌物ならば、胃液に分解されることなく腸に到達できる。腸内を善玉菌優勢にするには、双方の分泌物を届けてやればよい」と考えたわけである。
小牧はこの考えをもとに、菌同士の相性等を精査した結果、多くの乳酸菌、酵母菌の中から16種の乳酸菌と24種の酵母菌を選び出した。これら40種の善玉菌に、栄養が非常に高いことで知られるニンニクの無臭成分「サチヴァミン複合体」を与えて共棲培養し、そこへ、腸内到達率・増殖率が極めて高く組成に優れたタイプの乳酸菌=有胞子乳酸菌を加えて作られたのが、「腸内細菌叢改善食品」であり、この製品は1989年の世界発明博覧会・生物分子部門でグランプリを受賞している。製品の完成までは31もの工程をけ経る上、40種の異なる培養条件を満たすには1000リットル以上の大きなタンク培養器が必要となる。また、添加物・抗生物質を一切使わないという条件下で細菌の侵入を防ぐためには、完璧なクリーンルームが必要条件とされるなど、高度や設備と管理技術が要求される製品でもある。