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金曜日, 5月 18, 2012

藿香

○藿香(かっこう)

 フィリピン原産とされ、熱帯の地方、中国の広東・雲南省などで栽培されているシソ科の多年草パチョリ(パチュリー:Pogostemon cablin)の全草を用いる。また日本各地、東アジアに分布しているシソ科の多年草カワミドリ(Agastache rugosa)の全草も用いられる。現在、わが国で流通している藿香の基原はほとんどがパチョリであり、広藿香ともいう。広藿香の名は広東省の海南島てせ栽培化されたことに由来する。これに対し、カワミドリは土藿香とか川藿香(四川省産)などと呼ばれている。

 パチョリの精油成分はおもにパチョリアルコールで、オイゲノール、ケイヒアルデヒドなどが含まれる。この水蒸気蒸留したパチョリ油は香水の調合に用いられる。一方、カワミドリの主成分はメチルチャビコールである。カワミドリには抗真菌、抗スペロヘータ作用などが知られている。インドではパチョリを衣服の香料や浴湯料に用いるほか、薬用としては鎮痛・解熱薬、あるいは喘息や消化器疾患の治療に用いてきた。

 漢方では解暑・健胃・止瀉の効能があり、夏季の感冒、頭痛、嘔吐、下痢などに用いる。芳香性の強い健胃整腸薬で、とくに夏の胃腸障害や暑気あたりなどの常用薬として知られている。