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火曜日, 11月 01, 2005

クマザサについて

○くま笹

 クマ笹はイネ科の笹の一品類で、葉の緑が白くなる(隈ができる)ために隈笹とも書くが、冬眠から覚めた熊が好んで食べて体力の回復をはかるところから熊笹としてよく知られている。

 その成分を見ると、100g中にタンパク質13g、脂肪3g、カルシウム360g、ビタミンB1・0.4mg、B2・0.5mg、ビタミンKが1.8mgも含まれている。さらに神秘的ともいえる多様な働きをもつ葉緑素は80mgと多く、マグネシウムやリン、鉄などのミネラルも豊富である。このうちでビタミンKは、血液を固めるのに必要なプロトロンビンを増やす作用により、血液中のカルシウムイオンを増やし、酸性体質をアルカリ性体質にする。

 クマ笹のエネルギーの素は、タンパク質(アミノ酸)のほか、葉緑素、笹多糖体にあるといわれている。笹多糖体は、弱った細胞膜に働きかけ、細胞を丈夫にする。細胞膜を強化するので、あらゆる病気に効果を示す万能選手で、ガンにも効果があると注目されている。こうした効用はとくに緑色の濃いクマ笹の若葉(1年物)が強く、煎じて常用すると強壮、血圧の安定、さらに結核、喘息、カゼなどに効くことが伝承されてきた。また、クマ笹の若葉と紅花を一緒に煎じると、いっそう効果を発揮するとされる。

 さらにクマ笹のエキスでは、慢性肝炎、胃潰瘍、白内障などのほか、口内炎や胸やけには即効性のあることも確かめられている。また、ガンの予防作用については、九州大学農学部の村上浩紀、山藤一雄が、クマ笹の葉から採り出したリグニンという高分子化合物に、動物実験で制ガン作用を認めたと報告している。一方、笹の防腐作用をつかさどる多糖類の一つパンフォリンにも、生体の免疫力を強くしてガンの増殖を抑えること、なおかつ正常細胞に対する害がないことなどがわかり、その効用が期待されている。

 このように多彩な機能成分を豊富に含むクマ笹であるが、最近、植物の有効成分を壊すことなく、しかも効率よく採り出す技術が開発され、クマ笹エキスの抽出にも使われている。新しい抽出法は、「循環多段式加圧抽出法」(菊地式抽出法)と呼ばれ、最初に100℃以下の熱水抽出によって主としてミネラル、ビタミン、アミノ酸を採り出した後、加圧のレベルを何段階かに変えることによって、さらに数多くの多糖成分を抽出するという方法である。東京慈恵会医科大学名誉教授の近藤勇らは、この抽出法によって得られたクマ笹エキス(AHSS)をピロリ菌に使い、それによって菌が死滅することを発見した。しかも「ピロリ菌の鞭毛を溶かす」という、これまでのピロリ菌研究では報告されたことのない除菌現象であったため、国際ピロリ菌学会でも注目されたのである。

 慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の発症に大きく関わっているとされるヘリコバクダー・ピロリ菌だが、日本では50歳以上の70%以上がピロリ菌感染者であるという報告もあり、ピロリ菌対策が本格的に始まっている。しかし、抗生物質を使った除菌のため耐性菌の問題も大きなネックとなっている。近藤らの研究結果は、クマ笹エキスが植物由来の天然物質であることから、抗生物質が直面している耐性菌問題にも新しい展望を開く可能性を秘めているといえよう。

ホシ隈笹エキス  ハイブリッドAHSS