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木曜日, 2月 09, 2012

印度蛇木

○印度蛇木(いんどじゃぼく)

 インド、ビルマ、マレー半島などに分布し、熱帯に生えるキョウチクトウ科の常緑低木インドジャボク(Rauwolfia serpentina)の根を用いる。日本でも九州南部で栽培されている。この植物の根が蛇に似ていることからインディアンスネイクウッド(インド蛇木)と呼ばれ、実際に蛇の咬傷に用いられていた。

 学名は、ドイツ人の植物学者ラウヴォルフにちなみラウオルフィア・セルペンチナという。中国では同属植物の根を羅芙木と称して用いている。インドでは、この木は「月の病(精神病)」と関係するチャンドラの名で呼ばれていた。ヒマラヤ地方では古くから子供が蛇に咬まれたときの薬草として知られていた。インド伝承医学の古典アユルヴェーダの中にも、精神病や不眠症、高血圧、さらに解熱薬として用いられていたという記載がある。

 根の成分にはインドール系のアルカロイド、レセルピンやレシナミン、アジマリンなどが含まれ、レセルピンには著しい中枢性鎮静作用及び血圧降下作用、アジマリンには抗不整脈作用がみられる。レセルピンは1950年代には血圧降下薬及び精神病治療薬として脚光を浴びたが、眠気、脱力感、性欲減退、さらには抑うつ状態をもたらす深刻な副作用があるため、精神病薬としては、近年あまり用いられなくなった。今日では、レセルピン(アポプロン)などのラウオルフィア製剤が降圧剤として、アジマリンは抗不整脈剤として利用されている。