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月曜日, 5月 12, 2008

香酢(改訂版)

〇香酢(改訂版)

 香酢は中国江蘇省南部の鎮江でつくられる黒酢の一般的な呼称だが、黒酢といっても日本のものとは製法も原材料も異なっている。原料はもち米と麦ふすまで、もち米を蒸して酒を仕込み、これにもみ殻を加えて甕で自然発酵させる。この発酵の仕方を酢酸分層発酵法といい、甕の中を撹拌したり中身を別の甕に入れ替えて熟成させる。

 熟成の時間によって呼称が変わるのも香酢の特徴で、3年以上熟成させたものが高級香酢とされ、これに対して1年未満のものは陳醋と呼ばれ、一般酢(大衆酢)とされる。新年や祝日、特別の行事や珍客をもてなすときは老陳醋が振る舞われるという。香酢の良し悪しは主原料のもち米、水、麹に左右されるが、発酵・熟成の過程での作業時間(年月)、温度管理、容器の選定などによっても違いが生じるといわれる。特に陶製の甕は不思議な力を持っており、長年にわたって使われた甕の内部の小さな穴には菌や発酵微生物など、いわば自然の力がすみつき、穴から出て一時も休むことなく活動している。これが発酵や熟成に欠かせない神秘的な力を発揮するといわれている。

 香酢の特徴はアミノ酸の含有量が多いことだが、香酢の健康機能性でカギを握っているのはアミノ酸が数個連なっているペプチドと考えられており、今後の研究成果が待たれている。また最近になってメラノイジンという新しい成分が発見された。これは香酢を3年間熟成させると生成されるポリフェノールの一種で、胃や十二指腸の粘膜に作用して健胃・整腸効果を発揮することが報告されている。