○海風藤(かいふうとう)
関東地方以西、琉球諸島、台湾、朝鮮半島に分布するコショウ科の常緑つる性植物フウトウカズラ(Piper kadsura)のつる性の茎を用いる。風藤という中国の生薬名が日本の植物名になっている。よく似たコショウ科の植物にナントウゴショウ(P.wallichii)があり、そのつる性の茎葉の生薬名を石南藤あるいは南藤という。一説にはフウトウカズラは海風藤ではなく石南藤として用いられているともいわれる。
フウトウカズラの果実はコショウに似ているが、辛味はなく香辛料にはならない。茎や葉にはフトキシド、フトアミドなどが含まれる。近年、中国南部産の海風藤から得られたネオリグナンのカズレノンはきわめて強いPAF物質(血小板活性化因子の拮抗物質)であることが報告されている。
漢方では去風湿・通経絡・理気の効能があり、リウマチなどによる関節痛に筋肉痛、脳卒中後遺症による麻痺、打撲傷、慢性の咳嗽、喘息などに用いる。沖縄では神経痛、打撲傷ヘビの咬傷、腰痛などに用いている。