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金曜日, 6月 05, 2015

鈴蘭

○鈴蘭(すずらん)

 北海道や本州の長野県・群馬県・朝鮮半島、中国、シベリアなどに分布するユリ科の多年草スズラン(Convallaria majalis var.keiskei)の根及び全草を用いる。

 高山や山地の湿地帯に群生し、キミカゲソウ(君影草)という別名もある。現在、園芸的に栽培されているものはおもにヨーロッパ産のドイツスズラン(C.majalis)である。花には芳香があり、ドイツスズランは香水の原料にもされる。

 全草、とくに根茎や根には強心配糖体のコンバラトキシン、コンバラトキソール、コンバロサイドなどが含まれ、ジギタリスと類似の強心、利尿作用がある。コンバラトキシンの強心作用はジギタリスの10~15倍の強さがあり、中毒症状として流涎、悪心、嘔吐、頭痛などを起こし、多量に摂取すると呼吸停止、心不全に陥る。またコンバロサイドには血液凝固作用がある。

 ヨーロッパや日本でも強心利尿薬として利用されていたが、毒性が強いため用いないほうがいい。

豆豉

○豆豉(ずし)

 マメ科ダイズのの種子(Glycine max)を蒸して麹菌を用いて発酵させたものを乾燥して用いる。中国では淡豆豉あるいは香豉、淡豉などという。漢方生薬では一般に「豆豉」と称しているが、最近、健康食品として「豆鼓」という名称でも扱われている。

 豉は「くき」ともいい、大豆を発酵させたものを指し、日本の浜納豆や大徳寺納豆などに似たものである。蒸して発酵させるときに桑葉や青蒿を用いたり、蘇葉や麻黄を用いるなどいくつかの異なる加工方法がある。

 豆豉には鹸豉と淡豉との区別があり、塩を加えたものを鹸豉といい、塩を加えていないものを淡豉という。かつて鹸豉は醤油や味噌よりも古い調味料として利用されていた。薬用には塩を加えない淡豉を用いる。淡豆豉では豆の表面は黒く、縦横にしわがあり、質はもろくて砕けやすい。かび臭いにおいがあり、甘い味がする。

 成分には脂肪やタンパク質、酵素などが含まれている。近年、豆豉から抽出した成分(トウチエキス)が、αグルコシダーゼを阻害して、糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を抑えることが明らかとなり、特定保健用食品として認められている。

 漢方では解表・除煩の効能があり、熱性疾患や熱病後の不眠、煩躁などに用いる。軽い風寒型の感冒などで発熱、悪寒、頭痛のみられるときには葱白などと配合する(葱豉湯)。熱感や咽痛がある風熱型の感冒には薄荷・金銀花などと配合する(銀翹散)。この際、麻黄や蘇葉とともに加工した豆豉は風寒型の感冒、桑葉や青蒿を用いた豆豉は風熱型の感冒に適しているといわれている。また熱病の後で胸中が煩悶したり、不眠が続くときには山梔子と配合する(梔子豉湯)。