○緑茶エキス食品
緑茶は煎茶の形でその浸出液を飲むことができるが、溶け出す成分であるビタミンC、カフェイン、カテキン、アミノ酸などは1回お茶を出したときは約40%、2回目のときは20%程度が茶殻の中に残っている。また、残った茶殻の中には不溶性成分であるビタミンA・E、ミネラル、脂質、食物繊維も多く含まれており、近年その積極的活用が求められるようになった。
大森正司(大妻女子大学)、加藤みゆき(香川大学)らは、成長するにつれて高血圧になる遺伝的特性を持つラット群に対し、1回お茶を出した中級煎茶の茶殻の粉末を与える実験を行なった。生後6週間のラット10匹ずつ2グループを使い、実験期間は18週である。その結果、茶殻粉末を10%混入した餌を与えたグループは普通食を与えたグループに比べて最高血圧が低く(241mmHg対221mmHg)、血液中の中性脂肪は少なく(1dl当たり75.0mg対47.7mg)、体重増加も少ない(353g対321g)という結果が出た。
茶殻の粉末には食物繊維の含有量が多く、それが腸の蠕動を促進して有害菌の抑制、中性脂肪の吸着、ナトリウム排泄など多様な効能を発揮するのではないかと考えられている(1993年、日本農芸化学大会で発表)。
このほか、ビタミンC・E、β-カロチンなどの抗酸化作用も注目されている。最近、食べるお茶というキャッチフレーズで、緑茶エキスを粉末や顆粒、ゼリー状にした健康食品も多く出ている。