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土曜日, 11月 03, 2012

降真香

○降真香(こうしんこう)

 現在、降真香の基原植物にはマメ科のダルベルギア・オドリフェラ(Dallbergia odorifera)の根の心材をあてる場合と、ミカン科のオオバゲッケイ(Acronychia oedunculata)の心材や根をあてる場合とがある。

 降真檀は中国の広東省の海南島、広西省に分布し、栽培される。10~15mにも達する高木である。薬材は紅褐色ないし紫褐色でつやがあり、硬くてよい匂いがし、焼くと強い芳香がする。かつて降真香としてインド産のインド黄檀(D.sisoo)や海南黄檀(D.hainanensis)なども用いていたが、これらは表面が淡黄色から黄褐色である。

 降真香の根にはビサボレン、ファルネセン、ネロリドールなど、インド黄檀にはダルベルギンなどが含まれ、ダルベルギンには抗凝固作用や冠動脈血流増加作用が知られている。理気・止血・止痛の効能があり、出血や打撲傷、腫れ物、関節痛、心痛、胃痛などに用いる。狭心症には紅花・丹参・川芎などと配合する(冠心Ⅱ号方)。

 一方、オオバゲッケイは中国南部、東南アジアからマレーシアにかけて分布するミカン科の常緑高木で、ジャワでは若芽を食用にしたり、根を魚毒として使用している。この心材は沙塘木ともいう。この成分にはシトステロールやアクロニシンなどが含まれ、アクロニシンには抗癌作用が報告されている。

 漢方では理気・活血・健脾の効能があり、足腰の痛みや心痛、胃痛、打撲傷などに用いる。打撲や捻挫などには乳香・没薬などと配合して服用する。外傷には止痛・止血を目的として粉末を外用する。現在、マメ科の降真香は中国政府により輸出が禁止されている。