スポンサーリンク

火曜日, 7月 09, 2013

西瓜

○西瓜(すいか)

 熱帯アフリカ原産のウリ科のつる性一年草スイカ(Citrullus vulgaris)の果実を用いる。中国へは中央アジアを経て11世紀に、日本には寛永年間に渡来したといわれている。スイカの果肉部分を西瓜といい、その汁を服用する。また厚皮の最外層の部分を乾燥したものを西瓜皮あるいは西瓜翠衣という。

 果肉の90%は水分で、果汁には約8%の糖質のほかアミノ酸のアルギニンやシトルリン、色素成分のリコピンやカロテンなどが含まれる。シトルリンは西瓜の果汁から発見されたアミノ酸の一種で、強力な抗酸化作用があり、利尿作用や血管拡張作用などにも関与していると考えられており、欧米では疲労回復、血流改善、動脈硬化予防、精力増強のサプリメントとして利用されている。

 漢方では解暑・止渇・利水消腫の効能があり、暑気あたり、口渇、排尿減少、浮腫に用いる。一般に果汁にして100~300mlを1日に数回飲む。。成熟した果実の果汁を土鍋に入れてとろ火で煮つめ水飴状にしたものを西瓜糖と称し、腎炎や浮腫に用いる。これにキササゲ、南蛮毛を配合した薬用西瓜糖が腎炎や脚気の利尿薬として市販されている。ただ寒の性質があるため、体内の冷えたものには用いない。

 西瓜皮も西瓜と同様の効能があり、暑気あたりや夏風邪による浮腫に用いる。暑気あたりや夏風邪には西洋参・石斛など配合する(王氏清暑益気湯)。また皮を焼いて灰にしたものを口内炎や歯痛に塗布する。このほかも成熟の果実のヘタの部分を切って壺を作り、中に天然の芒硝を入れてヘタで蓋をして密封し吊るしておくと皮の外側に白色顆粒状の結晶が透析してくるが、これを西瓜霜といい、咽頭炎や口内炎、咽頭の嗄れや腫痛に用いる。

 ちなみに地中海で栽培されているスイカの同属植物コロシントウリ(C.colocynthis)の果実は苦くて食用にならないが、コロシンチンという苦味配糖体を含み、ヨーロッパでは緩下薬として利用されている。