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日曜日, 9月 30, 2007

里いも

○里いも

 里イモはマレー半島を原産とするサトイモ科の多年草植物で、日本にはイネ(稲)よりも早く紀元前1世紀頃には渡来したと考えられている。万葉集にも歌われており、山野に自生していた山イモに対して、里で栽培されたイモであるところから、里イモと命名された。別名をタロイモという。

 主成分はデンプンであるが、サツマイモに比べてその含有量は半分以下なので、エネルギーも58kcalと半分である。しかも糖分をエネルギーに変える働きをするビタミンB1は0.07mg、食物繊維は2.3g(いずれも100g中)と揃っているので、太ることを気にしないで食べられるばかりか、血中コレステロールを抑制する働きもある。

 特徴的なのは皮をむいたときのヌメリだが、これは多糖類のガラクタンに食物繊維のマンナンが加わったもので、これにヌメリの元であるムチンという糖タンパク質が含まれている。ムチンは体内に入ると肝臓の解毒作用を助けるグルクロン酸に変わり、強肝作用を持つ。またガラクタンは脳への刺激を伝えるのに必要とされる成分である。

 里イモの薬効は古くから伝えられており、食べれば便秘や腹の中の解熱によく、擂りおろしてショウガの絞り汁と小麦粉を食えたものを患部に湿布すると歯痛・肩こり・腫物によいといわれている。ショウガの代わりに酢を加えれば打ち身、捻挫に効く。さらに神経痛には皮、下痢にはズイキ(里イモの葉柄)を煎じて飲むとよいとされる。