○桑寄生(そうきせい)
さまざまな樹木に規制するヤドリギ科の常緑小低木ヤドリギ(Viscum albumvar.coloratum)やオオバヤドリギ(Taxillus yadoriki)、桑寄生(Scurrula parasitica)などの茎葉を用いる。日本では、近年までサルノコシカケ科の菌体も桑寄生と呼ばれ、断面の赤黒いものを梅寄生、白いものを桑寄生と称して誤用されていた。
ヤドリギ科の植物は半寄生性の植物で、樹木に寄生するが葉緑体も有している。たとえばヤドリギはニレ科、ブナ科、バラ科、クワ科などの植物に寄生する。本来、桑寄生とはクワの老大木に寄生するものを指している。日本のヤドリギ科の植物にはヤドリギやアカミヤドリギのほか、マツ科に寄生するマツグミ(Taxilluskaempferi)などがある。ヤドリギは鳥が果実を食べて種子を運ぶ鳥散布型で、鳥の消化管を通過しても種子に粘着性が残っており、その種が他の樹木に付着する仕組みになっている。
宿木の茎葉にはオレアノール酸、アビクラリン、イノシトール、ケルセチン、ルペオールなどが含まれている。漢方では補肝腎・去風湿・強筋骨・安胎の効能があり、肝腎を補って筋骨を強め、風湿を除いて腰や関節の痛みを和らげ、胎動不安や妊娠時の出血を治す。
腰痛には独活・防風などと配合する(独活寄生湯)。近年、桑寄生は高血圧や狭心症の治療にも応用されている。また日本の民間療法ではマツグミをマツの緑と称し、糖尿病や高血圧などに用いている。ヨーロッパでは古くからセイヨウヤドリギ(V.album)を躁鬱病や癲癇、高血圧などに用いている。