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月曜日, 2月 13, 2006

ナトリウムについて

○ナトリウム

 地球上で最も多い元素は、と訊かれて、ナトリウムであるとすぐに答えられる人は少ない。実は天然に存在する形で、海水に約3%含まれる塩がナトリウムを主成分としている。さらに、他にも各種のナトリウム塩として存在する。

 ナトリウムは生命維持のために不可欠の物質で、人体には体液中にナトリウム塩として約0.15%含まれている。その働きは、①神経の刺激を感じてスムーズに伝達する、②筋肉の弾性を維持する、③消化液や分泌液にアルカリ性を与えてphを調整する、④浸透圧や生体機能を調整する、といった大事な役目を担っている。

 ナトリウムは、自然界の食べ物にはあまり含まれてはいない、そこで人間は海水から得た塩(食塩)や岩塩を利用してきたのだが、そのように何千年も前から食塩だけを取り出して使っている生き物は人間だけであり、必要以上にナトリウムを摂った場合、それが体内にたまってしまうという事態が生じることになった。その結果として、高血圧という障害が生じたとされている。つまり、ナトリウムが血液中に増えてくると、それを薄めるために水分を引き入れるので血液量が増加して血圧が上がる。またナトリウムは、抹消血管を収縮する作用を持っているため、血流を悪くしてやはり血圧を上げ、心臓に負担をかけることになる。逆に不足した場合は、体液の浸透圧が下がるので、体液の水分が細胞に移り浮腫の原因になる。

 動物の体は、余分なものを摂り過ぎると、排泄していつも適度な濃度を保つよう調節する機能を備えているのだが、前述したように自然界の食べ物にはナトリウムはあまり多くはないので、不足した時に比べて、摂り過ぎの場合の調整機能はもともと劣っているのである。こういった調節は腎臓で行われ、常に体液の食塩含有量を0.9%に保つように働いている。腎臓や他の障害でナトリウム代謝に異常が生じると、機能障害など様々な症状が現れることになる。

 他の栄養素との関係ではカリウムとのバランスが知られている。体内では、ナトリウムとカリウムの割合が常に一定であるように調節されている。したがってナトリウムの摂り過ぎが原因で高血圧症に悩んでいる人は、カリウムが多く含まれている野菜や果物、海藻などをたくさん食べるようにすれば、よい結果が得られる。

 東北地方の疫学調査で、リンゴ(カリウムの含有量が多い)を産する村とそうでない村の高血圧症の人を調べたところ、リンゴ村でははるかに少ない数字になった。東北地方は、一般に高血圧疾患が多いところだが、リンゴの栽培地帯に限って脳卒中の死亡率が低かったとの報告がある。

 こうしたことから日本では、ナトリウムは摂取を制限するように指導されており、1日当たり10g未満(0.15g/体重kg未満)にすることが望ましいとされている。

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