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月曜日, 2月 20, 2012

烏梅

○烏梅(うばい)

 中国中部を原産とし古くから日本に渡来したバラ科の落葉小高木ウメ(Prunus mume)の未成熟果実を用いる。薬材は未熟な果実、つまり青梅を薫蒸して乾燥したものである。外面が黒いため烏梅といい、和名では「ふすべうめ」という。日本には樹木よりも先に薬として烏梅(うめい)が渡来したため、木そのものをウメと呼ぶようになったといわれる。ウメの花蕾は白梅花といい、種子は梅核仁という。

 梅の核には青酸配糖体のアミグダリンが含まれているが、未熟な果実の核はやわらかくて砕けやすいため、核を出たアミグダリンは酵素分解により青酸を生じる。このため青ウメは生で食べると中毒を起こして腹が痛むことがある。ただし、この青酸は熟するにつれて蒸散する。

 ウメの果肉の酸味としてクエン酸やコハク酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸が含まれるが、未熟な果実にはリンゴ酸が多く含まれ、成熟するとクエン酸のほうが多くなる。クエン酸は胃液の分泌を高め、ペプシンを活性化してタンパク質の消化を促進する。また烏梅の煎液には抗菌・抗真菌作用がある。中国や台湾では暑気ばらいの飲料として、烏梅に山査子や甘草、砂糖などを加えた酸梅湯がよく知られている。

 漢方では止渇・止嘔・止瀉・安蛔の効能があり、口渇や悪心・慢性の下痢、回虫症による腹痛、咳嗽、燥熱などに用いる。例えば老人の消化不良などのために下痢や食欲不振のみられるときには蒼朮・麝香などと配合する。(人参養胃湯)。日本の民間療法としては頭痛にコメカミにウメボシの果肉を貼り付ける治療がよく知られている。また青ウメを加工した日本独自の梅肉膏がある。