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金曜日, 5月 17, 2013

升麻

○升麻(しょうま)

 北海道から九州、中国、朝鮮半島、シベリアにかけて分布するキンポウゲ科の多年草サラシナショウマ(Cimicifuga simplex)の根茎を用いる。そのほかフブキショウマ(C.dahurica)やオオミツバショウマ(C.heracleifolia)の根茎を用いる。

 若葉をゆで、水にさらして食べることができるためサラシナ(晒し菜)の名がある。中国市場ではサラシナショウマの根茎を西升麻、フブキショウマを北升麻、オオミツバショウマのを関升麻というが、日本市場に流通しているのはほとんどが北升麻である。根茎の外皮が黒いため黒升麻とも呼ばれている。赤升麻というのはユキノシタ科の多年草であるトリアシショウマ類の根茎のことで、かつて升麻の代用にされたといわれる。

 升麻の成分としてトリテルペノイドのシミゲノール類やその他配糖体、クロモン誘導体のシミフギン、ケロール、アミオール、フェノールカルボン酸のカフェ酸、ステロイドのシトステロールなどが報告されており、解熱、鎮痛、抗浮腫作用や肛門部炎症を抑制する作用などが認められている。

 漢方では解表・透疹・清熱・升提の効能があり、麻疹などの発疹を促進し、咽頭や口腔内の炎症を清し、内臓などの下垂を改善する。中国医学では升麻に上行、昇散する性質があり、清陽の気を上昇させ、頭痛や体表の邪を解し、下痢や下垂などを改善すると説明している。

 民間療法でも咽頭の腫脹や口内炎、歯肉炎などに煎液で含嗽したり、湿疹やあせもに煎液を塗布したり、浴湯料として利用している。ちなみに北米インデイアンはアメリカショウマ(C.racemosa:ブラックコホッシュ)を月経困難や更年期障害などに用いていた。