○エゾウコギ
エゾウコギ(蝦夷五加木)は、高麗人参や三七人参と同じウコギ科の落葉低木で、本場は中国北部とシベリアである。エゾウコギは、その名からもわかるように日本産(北海道)のものの和名である。中国では刺五加、ロシアではエレウテロコックと呼ばれている。
中国では昔から、同類(五加、五加木)のウコギの樹皮を用いた五加皮と呼ばれる生薬があり、強壮、強精、鎮痛に効ありとされているが、エゾウコギはその一種。
日本では、わずかに北海道でしか産出しないこともあって、今まで一部の人に知られるだけで、大衆には程遠い存在であった。近年、精力増強や性機能強化という効能で知られるようになったが、後述するように全身の活力を高めるなどの働きがあるといわれている。
ロシアや中国ではエゾウコギの研究が盛んで、その発表によれば次のような効能があるという。 ①疲労回復、強壮、体質強化 ②自律神経失調症及び神経衰弱に効果。神経の興奮を沈静化する。③性機能の回復と強化 ④循環器系疾患に効果。低血圧、高血圧の改善、血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化、心臓病を予防する。 ⑤抗ガン効果。ガンの発生、発達、誘発、転移を抑える。 ⑥その他、糖尿病、慢性気管支炎などにも有効。
こうした薬効・食効がわかってから、旧ソ連で一般の人々の健康維持や運動選手の能力アップ、要人や宇宙飛行士の体力保持、中年からの性機能の向上など、多方面で愛用され、日本でも健康食品として、いろいろな形態で商品化されるようになった。
エゾウコギの有効成分は、複数のトリテリペイド配糖体(サポニン、リグナンなど)が知られているが、特にエゾウコギの特徴としてエレウタロイドEというリグナン系化合物が注目されている。これは生体防御物質のβエンドルフィンを増やし、免疫細胞の増殖や活性化を促すといわれている。