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日曜日, 9月 30, 2007

里いも

○里いも

 里イモはマレー半島を原産とするサトイモ科の多年草植物で、日本にはイネ(稲)よりも早く紀元前1世紀頃には渡来したと考えられている。万葉集にも歌われており、山野に自生していた山イモに対して、里で栽培されたイモであるところから、里イモと命名された。別名をタロイモという。

 主成分はデンプンであるが、サツマイモに比べてその含有量は半分以下なので、エネルギーも58kcalと半分である。しかも糖分をエネルギーに変える働きをするビタミンB1は0.07mg、食物繊維は2.3g(いずれも100g中)と揃っているので、太ることを気にしないで食べられるばかりか、血中コレステロールを抑制する働きもある。

 特徴的なのは皮をむいたときのヌメリだが、これは多糖類のガラクタンに食物繊維のマンナンが加わったもので、これにヌメリの元であるムチンという糖タンパク質が含まれている。ムチンは体内に入ると肝臓の解毒作用を助けるグルクロン酸に変わり、強肝作用を持つ。またガラクタンは脳への刺激を伝えるのに必要とされる成分である。

 里イモの薬効は古くから伝えられており、食べれば便秘や腹の中の解熱によく、擂りおろしてショウガの絞り汁と小麦粉を食えたものを患部に湿布すると歯痛・肩こり・腫物によいといわれている。ショウガの代わりに酢を加えれば打ち身、捻挫に効く。さらに神経痛には皮、下痢にはズイキ(里イモの葉柄)を煎じて飲むとよいとされる。

土曜日, 9月 29, 2007

じゃがいも

○じゃがいも

 南米アンデス地方を原産とするナス科の多年草。スペイン人が16世紀半ばに原種を南米からヨーロッパへ持ち帰ったのが世界的に広まる最初で、フランスで大地のリンゴの名で親しまれ、ドイツでは、パンはなくともジャガイモは欠かせない食材とされている。日本へは慶長年間にオランダ人によってジャワのジャガタラ(ジャカルタ)からもたらされ、最初ジャガタライモと呼ばれていたが、その後ジャガイモになった。別名馬鈴薯ともいう。

 主成分は炭水化物(100g中17.6g)であるが、エネルギーは76kcalで、サツマイモの132kcalに比べると約半分である。しかもこのデンプンは、ジャガイモに比較的多いビタミンC(生100g中35mg)をくるむようにして保護するので、熱を加えても破壊されにくいという特徴がある。これによって水煮をした後でもビタミンCは半量以上(21mg)が残り、中2個(約100g)を食べれば1日の所要量の半分以上は賄うことができる。

 もうひとつ注目すべき成分はカリウム(生100g中410mg)である。カリウムは体内でナトリウムと拮抗してバランスをとるため、カリウムを多く摂ると塩分に含まれていたナトリウムが排泄される結果、高血圧を予防することができる。さらに健胃、腎臓病のむくみなども有効とされるほか、臓器の筋肉組織を活性化する働きも知られている。ジャガイモにはまたアレルギー体質を改善する作用も認められており、アレルギー喘息や皮膚炎などではカリ療法といってジャガイモが利用されている。

金曜日, 9月 28, 2007

さつまいも

○さつまいも

 中央アメリカを原産地とするヒルガオ科のの多年草木で、わが国へは江戸時代の初めにポルトガル人によってもたらされた。当初は薩摩(鹿児島県)の特産だったことから薩摩芋と呼ばれる。戦中戦後の一時期を除き人気は低く低迷を続けていたが、食物繊維の効用が見直されるようになって以来、生活習慣予防に備える食品として注目されるようになっている。品種は多く、ベニハヤト、ベニサツマ、ベニアズマ、高系14号、農林1号などが知られている。また、最近よく話題になる紫芋もサツマイモの一種だ。

 サツマイモはイモ類の中でも群を抜いて炭水化物の含有量が多い(100g中31.5g)ため、肥満の原因になるからと敬遠する人もいるが、ビタミンCが29mgとミカンに匹敵し、栄養価値は高い食材である。サツマイモのビタミンCはピーマン同様壊れにくいのが特徴で過熱しても9割は残る。ビタミンCは風邪の予防に効果がある。また、ビタミンEを玄米の1.2倍含む点も見逃せない。これは過酸化脂質の生成を抑え、さらに血行を促す効用がある。このほか、サツマイモを切ったときに出る白い液に含まれるヤラピンという微量成分の持つ緩下作用は便秘解消に役立っている。

木曜日, 9月 27, 2007

貝割れ大根

○貝割れ大根

 大根の根が大きく成長する前に摘んだ一種の摘まみ菜である。古くから料理の添え物として使われてきたが、最近ではサラダの材料として利用されるようになり広く普及している。食物繊維を含むヘルシー食品としてアメリカでも需要が増えつつある。

 味はサッパリとして少し辛味がある。調理法も工夫されて、和・洋・中華ほか各種の料理に利用されるようになってきている。栄養面では、ビタミンEの含有量は小松菜や春菊を凌ぎ抹消血行障害の改善に役立つ。加えてカルシウム代謝に有効なビタミンKも含んでいる。ミネラル類はカルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅などの成分を含む。

※切干し大根

 大根を細切りにして天日に干した保存食である。干すことで独特の味と香りを生み出し、栄養価も倍増する。煮物や酢の物にして食べるのが一般的だが、水で戻したものをキュウリやキャベツなどと一緒にドレッシングで味付けすると、サラダ感覚でシャリシャリと歯ざわりもよく、匂いに馴染めない人でも抵抗なく摂れる。

 栄養的にはカルシウムやカリウムなどのミネラル類、ビタミンB1・B2、ナイアシン、さらにリグニン(食物繊維)も多い。3200mg(100g中)も含むカリウムは体内の細胞機能を高め、刺激の神経伝達をスムーズにして、高血圧に結びつく塩分の害を防ぐ効用がある。リグニンは便通を整え、肌のトラブルを防ぐ。切干し大根は量的にも摂りやすい食材なので、日常のメニューに是非加えたい一品である。

水曜日, 9月 26, 2007

大根

○大根

 アブラナ科の一、二年草である大根は古くから日本人に親しまれてきた野菜の一つである。大根役者というのは当たったことがない役者であるが、そんな言葉に使われたほど、大根は昔から食当たりを防ぐ健康野菜とし頼りにされてきた。

 食材となる根の部分にはビタミンCや鉄、食物繊維が含まれている。また消化酵素のジアスターゼやアミラーゼも多く含まれ、デンプンの消化を助けて食後の胸やけを防ぐ。大根の食効としては①のぼせやすい人の下半身の血行をよくして、のぼせを解消する。②消炎作用があるので口内炎などの痛みや虫歯の痛み、歯茎の出血には、おろし汁でうがいするとよい。③ハチミツを適宣加えて飲めば咳・声嗄れ・喉の痛み・二日酔いに効く、など古くから種々の効用が伝えられている。なお、大根おろしは時間が経つとビタミンCが減少してしまうので、おろしたてを食べるか、おろしてすぐに酢を加えるとビタミンCが壊れにくくなる。

 大根でもう一つ忘れてならないことは葉の活用である。緑黄色野菜の見直しの中で、それまで無視されることの多かった大根の葉に注目が集まったのはそれほど遠い昔ではない。事実、葉には根に比べてタンパク質が4.5倍、食物繊維が約3倍、カルシウムが10倍、鉄が15倍、ビタミンB1が4倍、B2が16倍、Cが約5倍も含まれている。カロチンにいたっては根では0だが葉には3900ugも含まれ、この数字は野菜類のトップクラスである。

火曜日, 9月 25, 2007

白菜

○白菜

 中国を原産とするアブラナ科の一年草。漬物や鍋物に欠かせない野菜としておなじみだが、わが国に紹介されたのは明治初期のことで、本格的な栽培が始まったのは昭和に入ってからと歴史は意外に浅い。中国では北方白菜、南方白菜、山東白菜の3種あるが、わが国では気候・風土の関係から山東白菜が定着した。葉の結球性から結球白菜、半結球白菜、不結球白菜に分かれるが、わが国で日常的に食べられているのは結球白菜である。

 栄養価はキャベツとほぼ同じで、ビタミンCはキャベツほどではないが大根以上に豊富だ。年間を通じて市場に出るが、鍋物などにして冬に食べられることが多いので、冬場のビタミン・ミネラル供給源として定番の野菜となっている。

月曜日, 9月 24, 2007

チンゲンサイ

○チンゲンサイ

 中国・華中地方を原産とするアブラナ科の一年草。中国名は青梗菜。中国では結球する白菜(パクチョイ)を大白菜、結球しないものを小白菜と呼ぶが、チンゲンサイは小白菜の仲間。同じ仲間で白い葉柄の白軸パクチョイに対して、チンゲンサイは葉柄が緑色のため青軸パクチョイとも呼ばれる。

 白菜のサクサクした歯ごたえ、きれいな色合いとクセのない味わいが広く好まれ、戦後渡来した中国野菜の中では最も早く定着した。栄養的にはカロチンが100g中2000ug(レチノール当量340ug)、カルシウムが100mgと豊富。繊維が少なく、炒め物やクリーム煮などで相当量食べられ、しかも油によってビタミンAの吸収率が非常に高くなることを考え合わせると、その効用は見逃すことができない。

土曜日, 9月 22, 2007

もやし

○もやし

 モヤシは豆類の種子を水に漬けて暗いところで発芽させたもので、原料は大豆や緑豆が主流であったが、現在市場に出回っているのは安価で栽培しやすいブラックマッペがほとんどである。またサラダで親しんでいるアルファルファもやしも人気がある。

 大豆モヤシは植物性タンパク質が多く、リジンやトリプトファンなど人の体内では作られない必須アミノ酸を多く含んでいる。またビタミンB1・B2やカルシウム、鉄などのミネラルも豊富で、豆と芽の部分には食物繊維が含まれていて腸の働きを助ける。

 モヤシは発芽させることで、豆の状態では含まれていないビタミンCが作られ、アミラーゼなどの消化酵素も生まれるので胃腸の弱い人にも向いている。どのモヤシも茹ですぎるとビタミンCやアミノ酸が失われるので、短時間で手早し茹で、塩をひとつまみ入れてアミノ酸流出を防ぐことが肝要であり、油炒めが適している。貧血・便秘の解消、生活習慣病や風邪の予防、疲労回復に効用がある。

※アルファルファもやし

 マメ科の多年草アルファルファの種子を発芽させて作るモヤシで、サラダとして生食される。食物繊維やビタミンK・B6、カルシウム、リンが豊富で、モヤシの中で唯一カロチンを含んでいる。ドレッシングなど油と一緒に食べるとカロチンの吸収がよくなる。また生食できるのでビタミンCが損なわれずに摂れる。モヤシは一度にたくさんの量を食べられるので、食物繊維による腸の浄化、便秘の改善にも有効である。アルファルファは家庭でも手軽に栽培できる。

金曜日, 9月 21, 2007

アスパラガス

○アスパラガス

 アスパラガスは南ヨーロッパ原産のユリ科の多年草で雌雄異株。セイヨウウド、オランダキジカクシ、マツバウドともいう。春に根株から出る太い若茎を食用にするが、盛り土をして栽培するホワイトアスパラガスと、陽に当てて育成するグリーンアスパラガスがある。

 生体内の代謝に重要な働きを持つアミノ酸にアスパラギン酸があるが、これはアスパラガスからその誘導体が発見されたことで命名されたものである。このように、アスパラガスには他の野菜にはないタンパク質の合成を助ける働きがあり、滋養強壮・体力回復に役立つ。アスパラギン酸は芽の部分に集中的に含まれている。このほかビタミンEやルチンも豊富で、得意な健康野菜といえよう。こちにルチン(ビタミンP)は毛細血管を強くし、動脈硬化症や高血圧症の予防につながる。

※グリーンアスパラガス

 盛り土せずに陽に当てて育成したアスパラガスで、茎を食用にする。主産地は北海道や長野県であるが、最近はメキシコ、アメリカ産のものも四季を問わず市場に出回っている。栄養成分としてはカロチン380ug(63ugRE)、ビタミンB2、0.15mg、ビタミンE1.5mg(いずれも100gあたり)、ルチンなどを含み、血管を強化して高血圧を予防する効果がある。穂先の部分に多く含まれる亜鉛は性的スタミナを増強する。また微量成分のクロロフィルは成長、利尿、血管の老化防止、肝臓や心臓の機能回復に有効である。ホワイトアスパラガスよりも、日光に当てたグリーンのほうがビタミン類やミネラルは豊富で、特に造血作用のある葉酸が多いことが特徴として挙げられる。

 選ぶときは緑の濃い太目のものがよい。細いと筋ばっていて強いものが多いので注意。茹でるにはたっぷりのお湯で根元のほうから先に入れ、茹ですぎないことが肝要である。グリーンアスパラは魚介類にも肉料理にも合わせやすく色どりもきれいなので、大いに利用したい食材のひとつである。

木曜日, 9月 20, 2007

キノア(キヌア)

○キノア(キヌア)

 昨日は南米ペルーボリビアの高知に生育するアカザ科の一年草で、直径2~3mmの種子が食用となる擬似穀物の一種である。キンワとも呼ばれる。古代インカ帝国時代には主食に供されていたが、16世紀のスペインによる植民地以降は小麦に追われて影を潜めた。

 しかし近年、健康志向が盛んな欧米で見直され、血中コレステロール値抑制効果もさることながら、その優れた栄養価で一躍評価を高めることとなった。わが国の白米と比較してカルシウムは7倍(35.8mg)、カリウムは6倍(539mg)、鉄は5.6倍(4.5mg)、マグネシウムは7倍(164mg、いずれも100g中)である。またタンパク質は全必須アミノ酸を含み、ビタミンB2は小麦の4倍含まれている。

 1997年から日本でも発売が開始され、欧米と同じくシリアルやパスタ、パンなどの加工品への利用のほか、離乳食や病院介護食、アレルギー症の回転食に活用されている。

キノア(キヌア)の商品一覧

水曜日, 9月 19, 2007

ポロねぎ

○ポロねぎ

 地中海沿岸を原産とする西洋ネギの一種で、リーキ(英名)、ポアロー(仏名)とも呼ばれる。食用の歴史は古く、紀元前からギリシャやローマで知られており、ローマの暴君ネロが声をよくするために油漬けにしたポロネギを食べていたと伝えられている。

 日本の下仁田ネギに似ているが、緑の葉は中空ではなく扁平で硬い。白い部分の巻き具合も緻密でずっしり重い。長さは20~40cm程度だが、太さは直径3~5cmにもなり長ネギよりもかなり太くなる。加熱すると柔らかくなり、ねっとりとして甘みがある。わが国には明治初期に渡来したが、ほとんど普及しなかった。しかし1970年代の後半あたりから需要が伸びだし、輸入量は年々増加している。

 ポロネギはフランス料理に欠かせない野菜の一つで、ホワイトソースで和えたり、トマトソースとの煮込みや野菜スープ、サラダ、酢漬けなどにされる。栄養的には鉄分やビタミンB群を多く含み、食欲増進・疲労回復・口内炎の予防・貧血の改善などに効果があるといわれている。

火曜日, 9月 18, 2007

わけぎ(分葱)

○わけぎ

 ワケギはネギとタマネギの雑種で、シベリアが原産。日本へは中国から4~5世紀に到来したといわれる。春先から初夏にかけてネギの欠乏期に代用され、酢味噌和え、ぬた、澄まし汁、鍋物のあしらいなどに使われてきた。

 分類上はネギと別種であるが、ニンニクやネギ、ニラと同じくユリ科に属するので、特有の臭いを放つ臭気成分アリシンが含まれており、これが体内に長くとどまってビタミンB1が吸収されやすいように働く。従ってB1が有効に体内に取り入れられ、糖質の代謝が円滑に進み全身に活力が生まれる。また、肝臓による体内毒素の代謝を促進し血液が浄化される。ビタミンB1は熱やアルカリに弱く、水にも溶けやすいために不足しがちな栄養素であるから、アリシンの働きは非常に重要である。

 ワケギはネギ(葉ネギ)に比べて、カロチンは2700ug(450ugRE)で1.5倍、ビタミンCは37mgで1.2倍である。ビタミンB6(0.18mg)やカルシウム(59mg)の含有量も葉ネギを上回っている(いずれも100gにつき)

月曜日, 9月 17, 2007

あさつき(浅葱)

※あさつき

 日本や中国の山野に自生するユリ科の多年草で、古く10世紀コロから野菜として栽培されてきた。ネギの類で筒状の葉はワケギに似ているが、さらに細く長さ30cmほどになり、辛味は強い。ネギ類特有の臭気を放つ硫化物により殺菌力がある。特筆すべきは、白ネギと異なりカロチンを芽キャベツ並みに含むことで、粘膜を強化し体の抵抗力を増す効用にもあなどり難いものがある。

 ビタミンB1は少ないが(100g中0.15mg)、ニンニクと同様にアリシンという物質が含まれており、これはB1が吸収しやすいアリチアミンという物質(B1誘導体)に変える働きがある。そのため、B1の多い他の食品(例えば納豆、カツオのたたき、赤身の刺身など)と組み合わせて摂ると一層効果的で味も引き立つ。比較的豊富なビタミンB2(100g中0.16mg)とB1との相乗効果で倦怠感・動悸・多発性神経炎・指先のささくれ・口内炎・口角炎・舌炎などの予防にも有効。単に料理の色どりと考えず、積極的に摂取したい野菜の一つである。

日曜日, 9月 16, 2007

ねぎ(葱)

○ねぎ

 ユリ科の多年草で中国西部からシベリアが原産。わが国で一般に長ネギとして食べられているのは「加賀「千住」「九条」の3品種である。加賀と千住は根深ネギと呼ばれ、白い葉鞘部を食べることから白ネギともいわれる。主に東日本で食べられる。九条は葉ネギと呼ばれ、緑の葉を食べる。西日本で主に使われている。

 白ネギと葉ネギを栄養成分で比較すると、カロチンは白ネギ14ug(2ugRE)、葉ネギ1900ug(310ugRE)と雲泥の差である。他のビタミン、ミネラルの含有量も葉ネギが大きく上回っている。ビタミンB1は0.05mg(白ネギ0.04mg)、B2は0.09mg(同0.04mg)、Cは31mg(同11mg)、カルシウムは54mg(同31mg)、鉄は0.7mg(同0.2g、いずれも100g中)というように、白よりも緑が断然勝っている。

 ネギはニンニクやニラと同じ仲間であることから、特有の臭気成分アリシンを持っている。アリシンはビタミンB1を分解する酵素チアミナーゼの作用を阻害し、胃腸内に入ったB1を無駄なく利用できるようにする。その結果、糖質の分解吸収能力が高まるので体力回復に役立つ。ただし、アリシンは揮発性で熱に弱いため、あまり煮込んでしまうと効力が激減するので注意しなくてはならない。

 ネギの微量成分による食効としては体を温める、スタミナの増強、老化防止のほか、胃腸病・食欲不振・冷え性・風邪・神経痛・浮腫(排尿を整えてむくみを取る)・不眠症などに有効とされている。長ネギのほかによく食卓に上がるものとしてアサツキ、ワケギなどがある。またフランス料理に欠かせないポロネギも最近人気がある。

金曜日, 9月 14, 2007

ホウレン草

○ホウレン草

 西アジアを原産とするアカザ科の一年草。緑黄色野菜の代表といわれ、貧血対策や子どもの成長促進、ガンの予防など、期待される食効は数多くあり、日常的に摂る野菜類の中ではトップスター的に扱われている。緑黄色野菜とはビタミンAを大量に含む濃い色の野菜を指しているが、その場合のビタミンA含有量の基準は「食べる部分100g中にカロチンを600ug以上含む」とされている。ホウレン草(生100g)のカロテン量は4200uf(700ugRE)である。

 このほかビタミンB1・B2・D・E・K(病的な出血を抑える)、葉酸(貧血・下痢・舌炎を治す)などを含み、ミネラルとしてはカルシウム、鉄、ヨウ素、銅、マンガンなどをバランスよく含んでいる。タンパク質も比較的豊富で、アミノ酸はトリプトファン、バリン、フェニルアラニンなどが多く、その組成は動物性タンパク質によく似ている。

 こうした栄養素の総合的効果によって不眠症・自律神失調症・更年期障害・皮膚の過敏症・便秘・胃弱などを治し、体力強化に役立つ。ただ、豊富な鉄分によって貧血改善の切り札のように考えられてきたホウレン草であるが、含まれている蓚酸によって鉄やカルシウムの吸収が妨げられ、かえって貧血やカルシウム不足による骨粗鬆症などを助長するという研究も発表されている(1994年、広島女子短大家政学部)。最近はサラダとして蓚酸の少ない改良種も出回っており、従来のものに比してアクが少ない分食べやすいが、色も味も淡白である。

木曜日, 9月 13, 2007

キャベツ(2)

○キャベツ

 春に出回る新キャベツは春玉キャベツで、緑色が浅く葉肉が薄い。水分が多く葉が柔らかいので、千切りにして生で食べるのに適している。一方、秋から春先にかけて出回る寒玉キャベツは肉厚で甘みも強いので煮込み料理に適している。このほか、最近は丸玉キャベツという品種に人気がある。一般にはグリーンボールとして知られているが、やや小型で丸く緑色が濃い。キャベツの仲間としてはほかに、紫キャベツ、芽キャベツも良く料理に使われる。また、キャベツの原型とされるケールは青汁の原料になる。

※グリーンボール

 キャベツの球形には扁平、腰高、丸、円錐、楕円などがあり、日本の品種は大部分が腰高であったが、近年、球形の丸いものが品質がよいとして評価をされ始め、グリーンボールとして市場に登場するようになった。そのため、キャベツの一品種である丸玉の総称のように思われているが、正確には種苗メーカーのサカタの銘柄名である。ちなみにマルシュ(タキイ)、スピードボール(渡辺)、グリーンキッド(石井)、こまる(野崎)など(カッコ名は社名)各種苗会社から十数種発売されており、グリーンボールが総括名として常用されている。

 グリーンボールはあまり大きくならないが、しっかりと固く巻いており、高冷涼地で春捲き秋採り、一般平地で夏捲き秋冬採りされる。栄養成分的には普通品種と同じ栄養素を含むが、ビタミンA(カロチン)が100g中110ugと、普通種に比べて約2倍含んでいる。

※紫キャベツ

 レッドキャベツとも呼ばれる。幼苗期から下部全体が紫色で、結球しても中心部まで紫色をしている。従来種は葉肉部が白く肉質が硬いので、最近は同色で軟らかいトレビス種に押されぎみであるが栄養成分的には優位を占める。色素が溶出しやすいので過熱する時は注意を要する。通常のキャベツに含まれる栄養素の全てを含むが、特にビタミンCが多く、100g中68mgに達する。カリウムやリン、亜鉛は通常キャベツの1.5倍、銅は約2倍も含んでいる。食物繊維に至ってはカリフラワー並みで、単なる色どりだけでなく、サラダとして大いに摂りたい食材である。

※芽キャベツ

 芽キャベツはキャベツの栽培変種で、キャベツが株ごと球状になるのに対し、伸びた茎に数個のキャベツの玉が発芽してピンポン球に結球したものである。ビタミンCが1600mg(100g中)とブロッコリー以上の多さで、ホウレン草の4.7倍もある。茹でても損失が少ないのでビタミンAとの相乗効果が期待できる。

キャベツの商品一覧

水曜日, 9月 12, 2007

キャベツ(1)

○キャベツ

 アブラナ科の一年草で、地中海や大西洋に面したヨーロッパが原産。日本へは江戸時代末期にもたらされ、明治になって本格的に栽培されるようになった。当初は甘藍、玉菜とも呼ばれていた。

 キャベツには、他の野菜にはない特異的な成分としてビタミンUが含まれている。この物質はキャベツの青汁が胃潰瘍患者の治療に効を奏したことから1940年に発見された。また肝臓の代謝機能と解毒作用を助けるので病気に対する自然治癒力が高まる。この薬理効果を求める場合には、熱を加えずに青汁を作って飲むのがよい。

 キャベツにはクセがなく、調理のバラエティーにも富んでいるので食物繊維の摂取にも好適だ。また有機酸や酵素類も多く含まれており、老廃物の分解が促されて一層血液の浄化に役立つ。ビタミンCの含有量が100g41mg(生の場合)と、淡色野菜ではトップクラスである。ただビタミンUと同じく水に溶けやすく熱にも弱いので、千切りや炒め物にするときは手際よくしたいものである。

 キャベツの中間はいずれもビタミン、ミネラルを豊富に含むばかりでなく、タンパク質・糖質(デンプン、食物繊維)も恵まれており、スタミナ増強・貧血の改善・風邪の予防・便秘の解消・美肌効果などのメリットを持つ健康野菜のスターである。近年の疫学調査では、キャベツを多食している地域の総死亡率(死亡原因を特定しない死亡率)は、それ以外の地域と比較して最も低いと報告されており、この効果はオリーブやヨーグルトの場合と似ていることが明らかにされた。また、野菜を摂る量とガンの関係を調べることは世界各地で行なわれているが、いずれも野菜が多いほど結腸・直腸ガンになる確立が低いとの結論を得ている。なかでも抗ガン効果や抗腫瘍性が顕著なことで注目を集めるのはアブラナ科の野菜(大根、小松菜、クレソン、キャベツなど)で、キャベツの仲間はその代表格とされている。

キャベツの商品一覧

火曜日, 9月 11, 2007

えん麦

○えん麦

 イネ科の単子葉類の種実で、カラス麦ともいう。欧米ではオーツといい、オートミールとして日常的に食されている。

 タンパク質のアミノ酸組成が玄米と似ており、リジンやメチオニン、スレオニンが少ないので、これに大豆を補うと完全なタンパク食となる。ビタミン様作用物質のコリンが含まれており動脈硬化を予防する効果がある。エン麦をそのまま家庭で利用することはほとんどないが、市販のオートミールを使うと日常的に摂ることができる。

※オートミール

 精白したエン麦を軽く焙煎し、挽き割り機で粉砕したもの。イギリスでは朝食用のシリアルとして伝統的な栄養食品の一つになっている。日本には明治以降に紹介されたものの余り普及しなかった。しかし近年その栄養価がクローズアップされ、改めて健康食材として注目されている。

 オートミールは短い時間で調理できるので、ビタミン類を損なうことなく摂取できるのも大きなメリットだ。食べ方は、オートミールを牛乳で煮て砂糖やハチミツを加えるのが一般的だが、オートミール自体には味がないので、和風味にしてオーツ粥にしたり、スープの素などを使ってリゾット風に仕上げてもよい。このほか小麦粉と混ぜてパンやクッキーにしたり、ハンバーグに混ぜるなど、工夫次第で色々な食べ方が可能だ。

月曜日, 9月 10, 2007

小麦

○小麦

 日本人の第2の主食として、米と並んで多く食べられているのが小麦である。小麦はイネ科の単子葉類で、春蒔きの一年草と秋蒔きの越年草がある。粒を粉砕して小麦粉を作り、パン、うどん、中華麺、そうめん、ひやむぎ、スパゲティ、マカロニなどの原料となる。このほか麩(ふ)や餃子、シュウマイの皮なども小麦である。

 小麦の成分はデンプン75%、タンパク質9%、水分14%など。小麦粒は80%が胚乳で、16%が皮部、2%が胚芽である。小麦粉は胚乳部分を選択的に使うが、小麦胚芽や小麦ふすま、小麦タンパク質なども機能性食品素材としてさまざまに利用されている。

 小麦の水溶性タンパク質である小麦アルブミンは、人の唾液や膵液に含まれるデンプン消化酵素のアミラーゼの働きを緩やかにする。そのため、食品に含まれる糖質の大部分を占めるデンプンの消化吸収を遅らせ、急激な食後血糖値の上昇を緩和する作用がある。この機能性に着目して、小麦アルブミンを含んだ粉末野菜スープなどがトクホとして製品化されている。

※麩

 麩はタンパク質の小麦グルテンから作られる食品で、中国から禅僧が伝えたといわれている。肉食を断つ禅僧に貴重なタンパク源として寺院で食されてきたが、後に懐石料理や法要の料理などに利用されるようになった。麩にはグルテンだけで作る生麩とグルテンに小麦粉やもち米粉などの合わせ粉を加えて焼いた焼麩の2種類がある。焼麩は保存性が高く保存食として重宝されている。

 麩の栄養成分はタンパク質と糖質がほとんどで、脂質はごく僅かしか含まれておらず、高タンパク・低脂肪食品である。小麦グルテンにはグルタミンが豊富に含まれている。グルタミンは体内に広く存在するアミノ酸で、免疫機能の低下を防ぐ作用がある。小麦から分解して作るグルテンは、スポーツ用食品や高齢者食品などの機能性素材としても用いられている。

日曜日, 9月 09, 2007

健康志向米

○健康志向米

 これまでは美味しさだけが追求されてきた米だが、最近は機能性成分を含んだ新品種が次々と登場しており、米にも健康志向が強まってきている。注目度が高いのは色素米や巨大胚芽米、低グリテリン米などで、いずれも製品化され市場に出ている。

 色素米は米糠部分に色素を含んだ米で、アントシアニン系色素の紫黒米(紫や黒色)、タンニン系色素の赤米(赤色)があるが、どちらの色素も動脈硬化やガンの予防に効果がある抗酸化物質のポリフェノールである。なかでも注目されているのが朝紫という品種で1996年に品種登録されたものだが、従来の紫黒米に比べて収量が多いという特徴がある。

 巨大胚芽米は普通品種に比べ胚芽が3倍以上も含まれる米で、発芽玄米の状態で増える天然物質のGABA(γ-アミノ酪酸)もその分多くなる。GABAは神経の沈静化、血圧の正常化、中性脂肪の抑制に関与するアミノ酸の一種である。2002年から本格生産が始まった巨大胚芽米「はいみのり」は、一般の米よりも発芽したときのGABAの増え方が大きく3~4倍あるという。

 低グリテリン米は、タンパク質のグリテリンが普通品種の半分以下の米で、腎臓病患者の食事療法への活用が期待されている。なかでもグリテリン量が通常の1/3という品種「春陽」(2002年から生産)が注目されている。このほか、300人の1人という米アレルギーの原因となるタンパク質を少なくした低アレルゲン米もある。長岡氏の製菓メーカーが味を損ねない製法を開発して販売にこぎつけた。

金曜日, 9月 07, 2007

チーズ

○チーズ

 チーズは、牛や山羊の乳を乳酸菌で発酵させてホエー(乳清)を取り除いた固体部分を熟成させた食品である。そのままのものをナチュラルチーズ、ナチュラルチーズに香辛料や調味料を添加して加熱溶解し、練り固めたものをプロセスチーズという。

 ナチュラルチーズは世界に数百以上もの種類があるといわれており、次のようなタイプに分けられる。熟成させていないフレッシュタイプ(カッテージ、モッツレラァなど)、白カビで表面熟成させた白カビタイプ(サントモールなど)、表面を酒や塩水で洗いながら熟成させるシェーブタイプ(ポンレヴェックなど)、弾力がありさまざまな料理に使えるセミハードタイプ(ゴーダ、マリボーなど)、長期熟成のハードタイプ(チェダー、パルメザンなど)。

 チーズにはタンパク質や脂質、カルシウム、リン、ビタミンA・B2などが豊富に含まれている。特にカルシウムの含有率は高く、牛乳の6倍のカルシウムが含まれている。チーズは牛乳のように乳糖不耐症を起こさないので、牛乳でお腹がゴロゴロする人や飲めない人のカルシウム供給源にもよい。カルシウムの含有率は、フレッシュタイプのような柔らかいものよりもハードタイプのほうが格段に高い。ビタミンAやB2も同様である。

 また100gで365kcal(エダムチーズの場合)と高カロリー食品なので、量を多く食べられない幼児や高齢者のエネルギー源に適している。チーズは虫歯を起こしにくい食品の一つでもあるので、幼児のおやつなどにも積極的に利用したい。

木曜日, 9月 06, 2007

バター

○バター

 バターは牛乳から分離したクリームを攪拌して乳脂肪分を塊状に集めた食品である。乳等省令では乳脂肪分80%以上、水分17%以下と規定されている。原料のクリームを乳酸発酵させたかどうかで、発酵バターと非発酵バターに区別される。日本のバターのほとんどは非発酵タイプだが、ヨーロッパでは発酵バターのほうが一般的である。ミルク風味で味にクセのない非発酵バターに対して、発酵バターはわずかに酸味があり、香りがよい。バターはまた、食塩添加の有無によって加塩バター(塩分0.9~1.9%)と無塩バターに分かれる。

 バターは80%以上が脂肪分で、不飽和脂肪酸より飽和脂肪酸のほうが多いが、バターの脂肪は乳化しているため、食用油脂類の中で最も消化がよく、消化率は97~98%にもなる。脂溶性のビタミンA・E・Dなども含まれ、特にビタミンAは油脂類の中で断トツである。ビタミンAを多く含むオリーブオイルなどに比べてレチノール当量は約17倍にもなる。

 バターは高コレステロール食品として敬遠されがちだが、1階の摂取量を考えるとそれほど心配はない。バターのコレステロールは100g中210mgである。食パン1枚に塗るバターの量を約10gとすると、コレステロールは21mg。これは卵1個分のコレステロールの含有量210mgの10分の1である。最近はまた、コレステロール値が低すぎると脳卒中のリスクが高まるなど、健康上の有用性を示すデータも発表されている。バターは少量で高カロリーを補え消化もよいので、高齢者や幼児の離乳食素材にも適している。

火曜日, 9月 04, 2007

バナバ茶

○バナバ茶

 お茶タイプの健康食品は喫茶の習慣が染み付いたわが国ではなじみやすく、古くから緑茶や紅茶を凌ぐほどの人気を得た健康茶類も多いが、比較的新しく導入されて以来、血糖値を下げる働きをもつ有効成分が確認されたことも手伝って急速に知名度を高めたのがこのバナバ茶である。

 バナバ葉ミソハギ科の常緑高木で、フィリピン、インドネシア、タイ、インドなど熱帯、亜熱帯に広く分布している。和名はオオバナサルスベリ。バナバ茶はその直径20cm余りの楕円形で肉厚の葉を乾燥させたもので、フィリピンでは糖尿病、肥満などのほか、利尿用に古くから民間伝承薬として愛用されてきた。インドネシア、タイ、インドでも痩身、解熱用として、また潰瘍、便秘などへの効用が重宝がられている。フィリピンでは自国で育つ薬用植物の活用を保健政策として推進しているところから、薬学的研究や臨床試験への取り組みにも熱心で、バナバを医薬用植物に指定して近年積極的に農園栽培を実施して産出量を拡大、わが国へも販路を伸ばすこととなった。

 わが国では、バナバの成分研究は既に1970年代の初めから東北薬科大学生化学教室などで行なわれ、その後はバナバ茶の入手困難などのため研究は一時中断していたが、最近になって潜在患者数600万人(40歳代以上の10人に1人)とも700万人ともいわれる糖尿病への対応が急がれ始めた中で、改めて注目されることとなった。山崎和男(広島大学医学部総合薬科活性構造化学教室)がバナバ茶に含まれるインスリンに似た働きを持つコロソール酸を分析して、その薬理作用を公表したのは1993年のことである。それによって、体細胞にブドウ糖が取り込まれるのを調整するブドウ糖輸送体(グルコース・トランスポーター)というタンパク質の活性を増強する働きがコロソール酸にあることが解明されている。

 また、大沢啓助(東北薬科大学生化学教室)らは薬物で強制的に糖尿病を起こさせたラットにバナバ茶のエキスを与え、血糖値が半減する結果を得ている。さらに角田隆巳(伊藤園中央研究所)、竹内久直(静岡大学農学部)、黒柳正典(静岡県立大学薬学部)らは、遺伝性糖尿病ラットにバナバ乾燥葉の熱水抽出エキスを投与して血糖上昇抑制効果を認めたことを94年の日本農芸化学会で報告している。

 バナバ茶の成分を見ると、カルシウム、マグネシウム、亜鉛といったミネラルが多いことも特徴で、亜鉛のコレステロール沈着抑制作用、マグネシウムの血糖消費促進効果、カルシウムの血圧効果作用などを考えると、バナバ茶は若さと健康を求める現代人に非常にマッチした健康食品であるといえるだろう。

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日曜日, 9月 02, 2007

ホースラディッシュ

○ホースラディッシュ

 アブラナ科の多年草で、原産はヨーロッパ南東部。16世紀頃にはイギリスで薬用として用いられてきたが、今日では香味野菜として普及している。日本ではセイヨウワサビ、特に北海道ではアイヌワサビと呼ばれている。わが国には明治初年にアメリカから導入され、北海道や長野の寒冷地で栽培されてきた。ワサビは清流で栽培されるが、ホースラディッシュは畑で栽培される。

 食用とするのは根の部分で、太さ3~5cm、長さ30~50cmにまで成長する。肉質は白く繊維が多い。すりおろすと特有の強い辛味と香気がある。辛味成分はワサビと同じシニグリンで、低温時に栽培されたもののほうが絡みは強い。根の皮をむき、刻んだりおろしたりして肉や魚料理の調味料とする。根には抗菌作用があるほか、消化や血行を促進させる働きもある。ヨーロッパでは歯茎の炎症を鎮め、体内の老廃液を排出、肺や泌尿器の感染症の薬として用いられてきた。

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土曜日, 9月 01, 2007

わさび

○わさび

 ワサビの原産地は日本で、大根やカブと同じアブラナ科に属し、山間の渓流に自生する。アオイ(葵)に似た葉を持ち、肥大した円柱状の茎に上品な辛味がある。従って用途のほとんどはその辛味を求めるものであり、わが国特有の香辛料として古くから使われてきた。また、葉や葉柄にもその特有の辛味と風味があり、お浸しや三倍酢、佃煮として賞味されることも多い。ワサビの最良品とされる青茎種のほか、赤茎種、白茎種がある。

 刺激性の辛味成分はシニグリンというカラシ油配糖体で、そのままでは辛くないが、すり潰すと加水分解してアリルイソチオシネートが生じ、これが辛味の素となる。揮発性が高いので時間が経つと気が抜けてしまうが、このときにビタミンCを加えると不思議と急激に辛味が復活する。また、この辛味には殺菌力や消臭性があり、体を冷やす働きがある。ワサビが寿司や刺身などの生魚につきものなのは単に嗜好ばかりでなく、消臭性や殺菌力を利用した先人の知恵である。

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