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木曜日, 2月 16, 2006

紅花油(サフラワー油)について

○紅花油

 紅花油は、紅花の種子から搾り取った油で、リノール酸が全体の75%以上を占め、植物油の中で最も多い含有量である。動物脂肪の摂り過ぎがコレステロールの増加を招き、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を引き起こすことになるが、リノール酸は体内コレステロールを排出し、動脈硬化や高血圧の予防・改善に有効だとして、近年、紅花油に注目が集まった。

 その効果を最初に実証した動物実験は、高血圧自然発症ラット(遺伝的に高血圧を起こすネズミ)をA、B、Cの3グループに分け、Aグループは粉末飼料、Bには粉末試料にラードを添加したもの、Cには粉末飼料に紅花油を加えたものをそれぞれ与えた。

 実験開始時には3グループとも平均血圧が197mmと、高血圧の症状を呈していたが、粉末飼料だけを与えていたAグループは、実験開始から終了までの5週間ほとんど変化なく、高血圧症のままであった。Bグループには初めの3週間だけラード(飽和脂肪酸)を加え、その後2週間は粉末飼料だけにしたが、グループと同じように高血圧は改善されなかった。

 最後のCグループは、初めの3週間に紅花油を加えた飼料を与え、その後2週間は粉末飼料だけにした結果、1週間目で血圧が平均177mmまで降下し、2週間目も低い血圧を保ち続けていた。しかし、紅花油の添加をやめて3週目以降は再び血圧が上昇してしまった。

 この実験データから、紅花油の血圧効果作用が明らかとなり、以後、リノール酸について血液中のコレステロールを減らす働きのほか、リノール酸の一部が体内でプロスタグランジン(ホルモンに似た働きを持つ物質)に変わり、その一部が血管を拡張させ、血圧を下げる働きを持つことなどが明らかにされた。

 このように高血圧予防に有効な紅花油であるが、リノール酸の含有量が跳び抜けて多いため、逆に紅花油の使用を減らすべきだとする指摘もあり、現在は概ねその方向に進んでいる。それは、近年の脂質栄養学の成果から、リノール酸の過剰摂取によって様々な弊害の起こることが明らかになってきたからである。

 リノール酸は酸化されやすく、体内で過酸化脂質を作りガンの原因となったり、リノール酸から合成されるアラキドン酸によって、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や免疫力低下を引き起こすことが指摘されている。つまり、過剰摂取による弊害である。

 紅花油も最近は品種改良され、変敗しにくい製品も出ているが、かつてのブームになったようにリノール酸至上主義が通用しなくなっていることは知っておく必要があるだろう。

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