○鶏内金(けいないきん)
キジ科ニワトリの胃である砂囊の内膜を用いる。砂囊を取り出してまだ温かいうちに内膜を剥ぎ取って水洗いし、乾燥する。
養鶏は朝鮮を経て弥生時代に日本に伝わり、紀元前300年よりも以前に飼われていたと推定されている。最初は闘鶏や観賞用として雄鶏が珍重され、祭礼などに用いられていた。ちなみに日本で鶏卵や鶏肉が一般に食べられるようになったのは明治以降である。
薬としては鶏肉や鶏肝などさまざまな部分が用いられ、砂囊にはホルモンのベントリクリン、ケラチン、ビタミンB1・B2、ナイアシン、ビタミンCなどが含まれ、内服により胃液の分泌量や酸度の増加が認められている。
漢方では消食積・止瀉・縮尿・化結石の効能があり、消化不良や腹部膨満感、悪心、嘔吐、下痢、夜尿、遣尿、胆石、尿路結石などに用いる。消化不良には単独あるいは山査子・神麹・麦芽などと配合する。胆石症には茵蔯蒿・金銭草などと配合する(胆道一号方)。