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火曜日, 11月 20, 2012

胡黄連

○胡黄連(こおうれん)

 インドやチベットなどヒマラヤ地方の高山地帯に分布するゴマノハグサ科の多年草コオレン(Picrorrhiza kurrooa)の根茎を用いる。そのほか同属植物の西蔵胡黄連(P.scophulariaeflora)なども利用される。薬用としては地上部が枯れた後に根を採取する。

 胡とは中近東などの西方を表し、胡黄連は西域から伝えられた黄連という意味である。キンポウゲ科の黄連とは植物学的には全く関係ないが、根茎の性味や効能が似ているため黄連の代用とされている。ちなみに胡黄連は日本の正倉院にも黒黄連として保存されている薬物である。入手しにくいため、鎌倉時代以降、日本では胡黄連の代用としてセンブリ(当薬)などか開発された。朝鮮産の胡黄連はメギ科のタツタソウ(Jeffersonia dubia)であり、鮮黄連ともいわれている。

 コオレンの根茎には苦味成分のクトキンやトキオール、クトキステロールなどが含まれ、抗菌、抗真菌、利胆作用などが報告されている。漢方では清熱燥湿・清虚熱の効能があり、細菌性の下痢や疳積、結核などによる発熱に用いたり、また黄連の代用にする。とくに小児の疳積の治療薬として有名である。

 寄生虫症や栄養失調による発熱などの疳積症状には人参・茯苓・山査子などと配合する(抑肝扶脾散)。脾腫などの腹部腫瘤には三稜・莪朮などと配合する(浄府散)。肺結核や慢性肝炎などで発熱や顔面紅潮、手足の煩熱などのみられるときに青蒿・地骨皮・別甲などと配合する(清骨散)。ちなみにコオレンはヒマラヤ地方では万能薬として、またインド医学でも小児の疳症の治療薬として知られている。