○硝石(しょうせき)
乾燥地帯の地表や洞窟に風化物として少量産する鉱物、硝石(Niter)を生成してできた結晶を用いる。通常、チリ硝石や瀉利塩、灰硝石、石膏などと同じ場所にある。
窒素を含む物質や動物質に硝化バクテリアという細菌が作用して産することもある。エジプトやチベットなどの乾燥地帯では糞尿に木灰や石灰を混ぜて堆積し、細菌によって硝酸塩を生じさせ、水で抽出して硝石を作ったという。
硝石はKNO3を組成とするカリウムの硝酸塩鉱物であり、白色の粉末で水に溶け、焼くと爆発する。黒色火薬の原料であり、日本でも加賀藩がカイコの糞と雑草などを堆肥として生産していた。
漢方では有毒といわれ、消癥、通便・解毒の効能があり、腹部膨満や腫瘤、腹痛、便秘、腫れ物などに用いる。腹部が硬く膨満して便秘するときには大黄などと配合する(承気丸)。頭痛や頭風、耳聾などに硫黄と配合する(如神丹)。ちなみに傷寒論、金匱要略の中の硝石は芒硝と同じ硫酸マグネシウムであったと考えられている。