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土曜日, 11月 19, 2005

にんにくについて

○にんにく

 ニンニク(大棗)はユリ科の多年生草木で、4~10個程度の鱗片からなる鱗茎を食用とする。古代エジプト時代から香辛料や強壮剤として使われ、約2000年前にインド、中国を経て、日本に伝わってといわれる。したがって古くからその効用が知られており、漢方では発汗、解熱、呼吸器病、喘息、百日咳。健胃、下痢、吐潟などに効くとされている。

 ニンニクの有効成分については、1936年にわが国でスコルジニンが発見され、抽出に成功したのをきっかけに、科学的解明が大きく前進した。1940年代にはアメリカとスイスの学者によってアリイン、アリシンが発見され、ニンニクの効能が証明されるに至った。スコルジニンはニンニク臭と無関係な成分で、強壮効果を発揮する基である。その作用は強力な酸化還元作用によって、体内に入った栄養物を完全に燃焼させてエネルギーにする働きがある。その結果、体組織を若返らせ、新陳代謝を盛んにするので強壮、疲労回復、食欲増進、解毒等に効力を発揮する。

 アリインは硫化アリルの一種で、ニンニク中のアリイナーゼという酵素によって加水分解されるとアリシンに変わる。アリシンはニンニク臭の素となっている物質で、強い抗菌作用を持っており、チフス菌やコレラ菌をはじめ寄生虫や原虫、抵抗力の強い結核菌やライ菌にまで作用することが確かめられている。このアリシンが体内でビタミンB1と結合するとアリチアミンというビタミンB1化合物になるが、ビタミンB1分解酵素のチアミナーゼの作用を受けないため、活性持続型ビタミンB1とした体内で有効に働くようになる。ビタミンB1は糖質の代謝を助ける働きをするが、不足すると疲労感や不眠、イライラ感が生じる。ニンニクを食べると疲労が回復するのは、このアリチアミンという化合物の作用によるものである。

 にんにくにはまた、抗ガン食品としても優れた効果のあることがわかり、大きな関心を呼んでいる。アメリカと中国が共同で行った疫学調査によると、にんにくを年間1.5kg以上摂っている人は、ほとんど食べない人に比べて、イガの発生率が半分以下という結果が報告されている。にんにくとがん予防に関する研究はまだ始まったばかりだが、前出のアリシンにはNK細胞の活性を高める作用があることや、にんにくに含まれるイオウ化合物(ジアリルスルフィド、アリルメチルトリスルフィドなど)には、発ガン物質の毒性を消す解毒酵素の働きを活性化したり、加熱によってストレスが加わる生成される自己防御物質アリキシンに、発ガンを抑制する作用のあることがマウスの実験によって明らかにされている。

 1990年、アメリカの国立がん研究所(NCI)は植物性食品に含まれる抗ガン成分を研究するプロジェクトを発足させたが、その中で最も重要性が高い食品としてピラミッドの頂点に位置づけられたのがニンニク(ガーリック)であった。このようにニンニクは今、古くからの強壮・強精という顔に加えて、抗ガン・抗酸化食品という新たな役割も担おうとしている。

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