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木曜日, 2月 14, 2008

テンペ

〇テンペ

 テンペは蒸煮した大豆をテンペ菌で発酵させたインドネシアの伝統食品である。テンペ菌はクモノスカビの一種で、ハイビスカスやバナナの葉などに付着している糸状菌のリゾープス・オリゴスポラスである。わが国の糸引き納豆と作り方が似ていることから、インドネシアの納豆とも呼ばれている。

 日本にテンペが紹介されたのは1950年以前だが、全国的な普及はせず、一部の地域でわずかに生産されているに過ぎなかった。ところが近年の健康志向の高まりで健康食として脚光を浴びるようになり、2003年ごろから一挙に話題の食品となった。

 栄養面ではタンパク質、リノール酸などの不飽和脂肪酸、ビタミン類、ミネラル類、イソフラボン・大豆サポニンなど納豆とほぼ同じ成分が含まれているが、テンペはビタミンKの含有量が格段に少なく、ナイアシンや食物繊維が多めである。また、納豆同様に大豆のタンパク質が発酵によって消化されやすくなっている。地元インドネシアでは古くから、テンペは赤痢や下痢によいとされているが、これはテンペの持つ強い抗菌作用によるものと考えられている。

 テンペは納豆のように糸を引かず、臭いもなく味も淡白なので、納豆が苦手な人にも奨められる大豆発酵食品である。インドネシアでは薄くスライスして油で揚げて食べることが多いが、日本ではカレーやグラタンの具、サラダ、炊き込みご飯、揚げ物、ケーキなど、さまざまな料理法が工夫されている。