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月曜日, 9月 17, 2012

桂皮

○桂皮(けいひ)

 中国南部やインドシナ半島に自生し、栽培されているクスノキ科の常緑高木ケイ(Cinnamomum cassia)の樹皮を桂皮という。

 桂皮は薬料、香料として古くから世界各地で用いられ、神農本草経をはじめエジプトのエーベルス・パピルス、インドのチャラカ本草、ギリシャのマテリア・メディカなどにも記載がみられる。古代エジプトでは没薬などの香薬とともにミイラを作るときに用いられていた。

 現在、日本にはおもに中国から1600トンあまりの桂皮が輸入されているが、薬用とされるのは約15%程度で、大部分は香辛料としてソースなどの原料に用いられている。

 日本では漢方生薬として桂皮と呼ばずに、桂枝と肉桂とを区別として用いている。日本薬局方では桂皮としてのみ規定し、老木の枝や樹齢6~7年の比較的若く、樹皮の薄いものが用いられている。中国ではおもに樹齢10年以上のケイの樹皮を肉桂、柔らかい 枝を桂枝として称しているため、日本でいう桂皮は桂枝ではなく、どちらかというと肉桂に準じるものである。日本市場には桂枝も流通しているので、桂枝を用いる場合には桂枝と指定すればよい。

 日本市場の桂枝はおもに広南桂皮やベトナム桂皮(安南桂皮)であり、市場での桂皮は幹皮の最外層が削り落とされ、管状あるいは半管状になっている。桂枝は製油を1~3.5%含み、その成分のほとんどは芳香性のケイアルデヒドである。そのほかジテルペノイド類や各種タンニンが含まれている。

 ケイアルデヒドには解熱、鎮静・鎮痙、抹消血管拡張、抗菌作用などが認められ、また水製エキスには抗アレルギー、利尿、抗血栓作用などが報告されている。中国医学では体表を温める桂枝は解表薬、体内を温める肉桂は温裏薬に分類され、区別されている。

 日本漢方では桂皮を桂枝と肉桂のいずれの場合にも応用し、両者の効能を合わせたものとして認識しているため、効能に関しては各項目に譲る。また注意事項として、桂枝を含む医療用の漢方製剤には薬物アレルギー(薬疹)に注意するよう指示されている。