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木曜日, 6月 26, 2014

蕃杏

○蕃杏(ばんきょう)

 日本の海岸をはじめ、太平洋沿岸の各地の砂地に分布するツルナ科の多年草ツルナ(Tetragonia tetragonoides)の全草を用いる。ツルナの果実は海流に乗って分散するため、東南アジアやオーストラリア、南米などにも広く分布している。

 茎や葉は肉質であり、新芽や葉はホウレンソウのように食用にでき、英語ではニュージーランドスピナッチともいう。日本にもツルナ(蔓菜)はハマナ(浜菜)、ハマヂシャ(浜千舎)などと呼ばれて食用にされることもあるが、アクが強くてざらつく感じが残るためあまり利用されない。

 成分には鉄やカルシウム、ビタミンA・Bなどのほか、酵母菌属に対して抗菌作用のあるテトラゴニンなどが含まれている。一般に「浜ぢしゃ」の名で日本の民間薬として知られ、胃炎などの胃の痛みに効果がある。昭和10年代の初期に胃癌や食道癌に効果があるとしてブームになったが、とくに根拠はなさそうである。