○あおき(青木)
関東地方以西の本州、四国に分布する日本特産のミズキ科の常緑低木アオキ(Aucuba japonica)の生の葉を用いる。北海道や東北地方、山陰地方には変種のヒメアオキ、九州や沖縄にも変種のナンゴクアオキが分布している。中国ではアオキの同属植物であるアカサンゴ(桃葉珊瑚、A.chinensis)の葉を天脚板と称し、薬用にしている。一年中、葉だけでなく枝も青いことからアオキ(青木)という名がある。また冬になると赤くて光沢のある実が熟すため、庭木や室内観葉植物として利用されている。アオキは1783年に観賞用植物としてヨーロッパへ伝えられ、学名のアウクバはアオキバ(青木葉)に由来する。
葉や茎にはイリドイドのアウクビンやアウクビゲニンが含まれ、葉をあぶったり、乾燥させたりするとアウクビンが酸化されて黒変する。日本の民間療法では生の葉を火であぶって柔らかくしたものや、あぶった後すりつぶして泥状にしたものを火傷や腫れ物、切り傷、凍瘡などに外用する。また忍冬の茎葉と一緒に煎じて脚気や胃腸薬、陀羅尼助にアオキ葉が配合されているが、これは固形エキスの表面に色つやを出すためといわれている。