○あかしょうま(赤升麻)
日本の北海道から九州にかけて北から南に分布するユキノシタ科の多年草アカショウマ(Astilbe thunbergii)の根茎を用いる。アカショウマの近縁植物であるトリアシショウマ(A.thinbergii var.congesta)、チダケサシ(A.microphylla)、アワモリショウマ(A.japonica)などの根茎も赤升麻として用いる。かつて黒升麻、すなわち升麻(サラシナショウマ)の代用にされたため、その名がある。しかしサラシナショウマはキンポウゲ科の植物であり、現代では代用されない。
根茎にはフラボノイドのアスチルビンのほか、イソクマリン系のベルゲニンが含まれる。アスチルビンとベルゲニンは体内で脂肪に働きかける作用を持つノルアドレナリンを補助する作用があり、ダイエット効果が期待されている。またアカショウマポリフェノールはリパーゼの酵素活性を阻害し、腸管からの脂質吸収を抑制することも報告されている。
民間療法では煎じて風邪、頭痛、下痢などのときに服用する。また口内炎や咽頭炎には煎液でうがいする。あせもや湿疹などには煎液を塗布する。脱肛には浴湯料として用いる。