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火曜日, 9月 03, 2013

蝉退

○蝉退(せんたい)

 中国ではセミ科のクマゼミによく似た黒蚱(Cryptotympana atrata)の羽化後の抜け殻、日本ではアブラゼミやクマゼミの抜け殻を用いる。ただし市場品の種類は多く、黄金色で透明なものを金蝉衣、灰褐色で光沢のないものを土蝉衣という。

 成分は明らかではないが、抗痙攣鎮静作用、神経節遮断作用が報告されている。漢方では散風熱・透疹・止痒・退翳・解痙の効能があり、熱性疾患、咽頭腫脹、嗄声、発疹、掻痒症、目の翳障、ひきつけ、腫れ物などに用いる。とくに小児科領域で用いることが多い。

 麻疹の透疹を促進するために葛根・牛蒡子・薄荷などと併用する。炎症性の目の充血や角膜混濁などには菊花などと配合する。湿疹や皮膚掻痒症には荊芥・防風などと配合する(消風散)。破傷風の痙攣には天麻・全蝎・白僵蚕などと配合する(五虎追風散)。夜泣きや小児のひきつけには釣藤・薄荷などと併用する。化膿症や中耳炎には粉末にして塗布する治療方法もある。近年、中国では破傷風、慢性秦麻疹、化膿性中耳炎などに対する臨床研究が報告されている。