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日曜日, 10月 30, 2005

ダッタンそばについて

○ダッタンそば

 ソバが栄養価の高い穀物であることはよく知られている。成分中13%にも達するタンパク質は必須アミノ酸のバランスがよく、70%を占める炭水化物にしても他の穀物のデンプンより糖化度が高い。ミネラル類も、とくにリンとカリウムが際立って多く含まれている。そして何よりも特徴的なのは、ルチンの存在である。ルチンは抗酸化物質として注目されているフラボノイド(植物の色素成分)の一つで、血中の糖・コレステロールを減らし、血圧を下げる作用があることが知られている。また、体内でケルセチンに変化して抗腫瘍効果を発揮したり、痴呆症の改善にも寄与することが明らかになっている。

 近年、ダッタンソバ(韃靼蕎麦)が一躍脚光を浴びているのは、このルチンが普通のソバに比べて10倍以上も含まれていることがわかったからである。わが国で通常一般に食べられているソバは普通ソバで「甘そば」と呼ばれるものだが、ダッタンソバは「苦そば」といわれ、粉を口に入れるとほのかな苦みを感じる。韃靼ソバの「ダッタン」は学名のタータリクムに由来し、タタールの中国名が「韃靼」であることからこう名付けられた。主な生産地は中国の雲南省と四川省の標高2000~3000m の山岳地帯である。

 栄養成分について、四川省産の苦そば(ダッタンソバ)と甘そば(普通ソバ)を比較した中国商業部食物化学研究所の分析(1989年)によると、パーセント値の比較で、粗タンパクは10.5対6.5、粗脂肪は2.15対1.37、デンプンも72.61対65.9と、いずれも苦そばの方が高い値を示しているが、とりわけルチンは甘そばが0.095~0.2%であるのに対し、苦そば2.5%と10倍以上である。ビタミンB群、ミネラル類、必須アミノ酸についても、総じて苦そばは含有量が多い。

 これが何を意味するかといえば、その栄養価のバランスや含有量の違いが、日常的に食べるものであるからこそ健康の維持に結果的に大きく響いてくる、ということである。ダッタンソバを常食する中国少数民族に、高脂血症、高血圧、糖尿病、心筋梗塞が非常に少ないという中国における疫学調査は、北京私立北京中医医院、北京同仁病院、北京飲料科学研究所などの共同研究により、動物実験ないし入院患者に対する臨床試験によって新たに確認され、これら降糖作用・降圧作用・降脂作用は「ダッタンソバの3降作用」として公にされている。

韃靼そば茶