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金曜日, 10月 25, 2013

大茴香

○大茴香(だいういきょう)

 中国南部、台湾、ベトナム北部に分布するシミキ科(モクレン科)の常緑小高木ダイウイキョウ(Illicium verum)の成熟果実を用いる。単に茴香といえばセリ科のウイキョウ(Foeniculum vulgare)の果実、小茴香(フェンネル)のことである。

 ダイウイキョウの果実は星型に8つに割れており、別名八角あるいは八角茴香という。一般に未熟な果実を乾燥させ、そのままあるいは粉末にして香辛料にする。茴香やアニスに似た風味と苦味があるため、大茴香とかスターアニスともいわれる。日本などに自生するシキミとよく似た植物であり、ダイウイキョウはトウシキミとも呼ばれる。

 シキミはアニサチンやシキミニンなどの痙攣毒を含み有毒である。かつてスターアニスと称してシキミの実がドイツに輸入され、中毒事件を起こしたことがある。ダイウイキョウは中華料理には欠かせないスパイスで、東坡肉などの肉や内臓の煮込みによく入れられる。

 果実にはアネトールを主成分とする精油を含み、そのほかピネン、リモネン、フェランドンなどが含まれる。アネトールには芳香があり、健胃・消化、駆風作用が知られている。漢方で温裏・理気・止痛の効能があり、冷えによる嘔吐や腹痛、食欲不振などに用いる。ちなみに市販のウイキョウ油はほとんどが大茴香であり、歯磨きなどの賦香料、アネトール原料として利用されている。

 近年、抗インフルエンザウイルス剤・タミフルの原料としてトウシキミの成熟果実から抽出されたシキミ酸が利用されていることで大茴香が品不足となり、話題となった。