○オリーブ油
オリーブの果実は、品種を問わず強い苦味があり生食できないが、塩漬け(ピックル)にした果実は脂肪分を含んで独特の風味を持ち、栄養価も高い。この熟した果実の実からはオリーブ油(果実重量の15~20%に達する)が作られる。また、核からはオリーブ核油が得られる。
オリーブ油は植物の中でも最も消化・吸収がよく、豊富な脂溶性ビタミン類、さらに細胞に酸素を送る働きをしているカリウム、マグネシウムなどのミネラル類など栄養的価値の高い成分が含まれている。しかも、酵素は自然のタンニンとうまく調和しているので、栄養性分が吸収されやすく、健康素材として効果的である。
なかでも、果肉だけ収集したものを弱く冷圧して採取したものは、バージンオイルと呼ばれ、新鮮味、栄養ともに最高である。
その成分分析をみると、酸化度が0.17と低く、鹸化価190、ヨウ素価83.5といずも高い。脂肪分の組成は不飽和脂肪酸を豊富に含み、オレイン酸79.4%、パルミチン酸9.2%、リノール酸8.1%、ステアリン酸2.6%、リノレン酸0.6%などとなっている。そのほか微量成分ではプロビタミンA、ビタミンD・E、また珍しい成分として細胞の若返りに有効なスクアレンなどがある。
バージンオイルは、オリーブの生きた栄養が全く破壊されていないのが特徴である。そのため、栄養が豊富に含まれているほか、消化・吸収がよく、さっぱりした食後感で、食べても胸焼けや胃のもたれなどの心配がない。
オリーブは欧米で古くから薬用として使われており、また健康食品としても高く評価されている。欧米でのデータを紹介すると、①コレステロールを減らす、②オリーブ油を常食している民族では中年層に心臓及び動脈系統の病気が非常に少ない、③X線や放射線から守る(ネズミにX線、放射線をかけ続けた実験で、オリーブを与えたネズミには障害が起こらなかった)、④便秘の予防(慢性便秘などの人は大さじ1~3杯のオリーブ油を飲むとよい。副作用がなく、オリーブ油が腸壁を滑らかにして腸の運動を高める)、⑤胃酸過多や胃潰瘍にも有効(胃を守り、胃の運動や胃液の分泌を規則正しくする)、などが報告されている。
このほか、髪の毛や皮膚の美容と健康、日焼けの予防、歯ぐきの健康、爪やまつ毛の健康などにも効果がある。
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