○塊角(かいかく)
マメ科に属する落葉高木エンジュ(Sophora japonica)の成熟した果実を用いる。エンジュは中国では尊貴の樹といわれるが、日本でも「延寿」に通じるめでたい木とされている。公害に強いため街路樹として好んで植栽されている。
果実はサヤエンドウのような形をしており、乾燥させた生薬は連珠状になっている。果皮は石鹸の代用にもされていた。エンジュの花および花蕾は塊花といい、エンジュに寄生するキクラゲ(Auricularia auricula)を塊耳という。塊角にはゲニステイン、ソフォリコシド、ルチンなどが含まれ、また塊角に赤血球を破壊する毒性があると報告されている。
漢方では清熱・止血の効能があり、下血、痔、性器出血、陰部湿疹等に用いる。塊角の止血作用は塊花とほぼ同じで、主に痔や血便などに用いる。痔の治療には地楡などと配合した塊角丸(別名:腸風塊角丸)がよく知られている。ただし止血作用は塊花よりも弱く、清熱作用は塊角のほうが強いとされている。ちなみに塊耳も痔や下血、性器出血などに用いられる。