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日曜日, 7月 15, 2007

花粉(改訂版)

○花粉

 ポーレンとも言う。ミツバチが集めた花粉を原料にしてつくるミツバチ花粉(ビー・ポーレン)と、花粉を水やエタノールで抽出・濃縮してつくる花粉エキスがある。

 ミツバチ花粉は、ミツバチが花蜜と一緒に集めた花粉に体内の酵素が加わったもので、働き蜂はこれを食べることでローヤルゼリーを分泌することができる。組成は糖類が約40%、タンパク質が約35%(その内、半分か吸収されやすい遊離アミノ酸)で、ほかにビタミンA、B1、B2、B6、C、E、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、さらにミネラルとしてはカリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、珪素などと豊富である。そのためヨーロッパではパーフェクトフーズ(完全な食品)とも呼ばれている。

 生物学者のニコライ・ティシティンが長寿で知られるコーサカスのグルジア族を調査し、100歳以上の大多数が養蜂家で、花粉の混ざったハチミツ原液(精製した残滓)を常食していることが明らかにされたことから、各国で効能の研究が行われるようになった。フランスの科学者レミー・ショーバンは早くも1957年に、①整腸作用(便秘や下痢の改善)、②血中ヘモグロビンの増加(貧血に有効)、③滋養と体力回復、④精神安定、⑤副作用なし、と臨床試験の結果を発表している。やがて多くの研究者によって、花粉食品には抗生物質的なものやホルモン様成分、成長促進物質などが含有されていることが明らかにされていったが、なかでもとりわけ目立つのは前立腺肥大に対する効果であった。

 1959年に始めて研究成果を明らかにしたのはスウェーデンのエリック・ウプマルク(ウプサラ大学)で、5年間に及ぶクロロマイセチン(抗生物質)の大量投与でも無効だった前立腺肥大の患者に花粉を投与し、奇跡的な回復をみたのである。62年には同国の医師ゴスタ・リンダーが前立腺の感染症にも顕著な効果があったと発表した。その後、ドイツやアメリカの医学会でも同様の成果が明らかにされるとともに、単に排尿困難、激痛、頻尿といった症状の改善にとどまらず、前立腺疾患が原因の性欲減退、インポテンツの改善効果が次々に報告された。スウェーデンでは早くから花粉が栄養剤・感冒剤・強壮剤として用いられてきたが、前立腺肥大の治療薬として花粉だけを使った薬剤も開発されて、これはわが国でも使われている。

 中国では陳恕仁(広州軍区軍医学校臨床研究室)らのグループが破砕処理した花粉(細胞壁を破砕して成分を浸出しやすくしたもの)を用いて、前立腺炎ないしそのための不妊症の患者423例を他の薬剤は一切使わずに治療した結果、27%が治癒(妊娠)、54%が肥大・炎症の快癒と自覚症状の消失、11%が好転、無効は僅か8%であったと報告し、「植物の精子に当たる花粉の成分が人間の精子の成分に転換されるのではないか」と述べている。こうした顕著な効果は花粉全体の作用であるが、特に含有成分のマグネシウムと亜鉛に着目した研究が欧米に多い。どちらも健全な前立腺や精液に比して、患者のそれは大幅に減少していることが明らかにされており、この欠乏が前立腺ガンの危険に結びつくことが指摘されている。

 花粉を原料にした健康食品はミツバチ花粉食品、花粉エキス末食品などがあり、(財)日本健康栄養食品協会の「花粉食品規格基準」(1991年9月公示、93年7月一部改正)では、ミツバチ花粉・ミツバチ花粉食品・ミツバチ花粉加工食品・花粉エキス末、花粉エキス末含有食品について定義されている。

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