○紅花
紅花はキク科の一年草で、サフラワー(英名)とも呼ばれる。夏に咲く紅黄色の花を摘み取って薬用や染料、口紅などに用いたことから、古名を末摘花という。開花後、花冠が赤くなった花を集めて乾燥したものが生薬の紅花(こうか)で、漢方薬の古典・菌匱要略には「婦人の62種の風、および腹中血気利痛は、紅藍花(紅花)これを主どる」とあり、これは婦人の冷え性、産前産後や更年期など腹が痛むときに効果があるといった意味である。
血流循環に異常が生じて滞った状態を漢方では瘀血というが、女性によく見られる月経異常や冷え性、のぼせ、皮膚のしみ、時に不妊や流・早産などを始め、中風や高血圧も?血が原因する場合が多いと考えられており、腫瘍、口内炎なども含めて紅花の適応症としているのである。現代的に言い換えれば、紅花の薬効成分が全身の代謝機能を更新するということになろう。
紅花の薬効成分としては数種のフラボン配糖体、アセチレン化合物などの他に、カルコン配糖体である黄色色素のサフロールイエロー、紅色色素のカーサミンなどがよく知られている。黄色色素は水に溶けるが、赤色色素は水に不要でアルコールに溶けるため、紅花を処方した漢方薬は、水なく酒で煎じて服用する場合がある。また、焼酎に浸けておけば、両方の色素が浸出した薬用酒(紅花酒)ができる。また、藤ノ森古墳(6世紀後半)の被葬者の腹部を中心にその花粉が大量に検出され、これは紅花が防腐剤として用いられた可能性が高いとして話題になった。
紅花の若芽を乾燥させた健康食品(焙煎加工したお茶タイプ、粉末化した顆粒タイプなど)も登場している。分析検査(財・日本食品分析センターによる)では特にカルシウム、β-カロチン、葉酸、食物繊維の含有が多く、抗酸化作用を持つビタミンEはホウレン草の100倍、SOD活性は2400単位/1gで緑茶の6.5倍に達する。
また、紅花の種子から搾り取った紅花油(サフラワー油)もよく知られている。不飽和脂肪酸のリノール酸を大量に含むことから、一時、健康によい食用油として人気を集めた。
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