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火曜日, 6月 23, 2015

西洋トチノキ

○西洋トチノキ

 バルカン半島のトチノキ科の落葉高木セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の種子を用いる。欧米では街路樹として広く植栽され、パリのマロニエとして知られているのはこのセイヨウトチノキのことである。ちなみに英語名はホース・チェスナット(栗)、その翻訳名のウマグリ(馬栗)という和名もある。仏語名のマロニエもマロン(栗)に由来し、かつてマロングラッセもマロニエの実が使われていたといわれる。

 種子にはトリテルペン系サポニンのエスシンのほか、クマリン、エスクリンなどが含まれ、静脈壁を強化し、静脈の透過性を下げる作用のほか、血流促進、凝固抑制、抗炎症、抗潰瘍作用などが知られている。

 外傷や炎症による腫張を緩和し、静脈の血流を改善視することが認められており、ドイツなどでは静脈瘤や下肢血流障害(足のだるさ、こむら返り)、痔核の治療、手術後の浮腫の回復などに用いられ、日本でも軟部腫張の治療薬として用いられ、市販の痔治療薬や湿布薬、化粧品などに配合されている。ちなみに生の種子にはエスクリンが含まれるため、過量に用いると死に至ることがあり、一般にはエスクリンを除去した種子エキスのみを利用する。副作用として消化器症状や痒みの出ることがある。

 日本のトチノキ(A.turbinata)も民間薬として知られ、種子の栃の実を乾燥粉末にして胃痛や打ち身、痔などに用いている。また樹皮を煎じて痔や子宮出血、蕁麻疹、下痢等に用い、葉を煎じて咳の治療に用いている。

西洋参

○西洋参(せいようじん)

 北アメリカ原産で、カナダやアメリカの肥沃な森林に自生しているウコギ科のアメリカニンジン(Panax quinquefolis)の根を用いる。

 17世紀末に薬用人参の効能がヨーロッパに紹介され、18世の初めにその論文を目にしたカナダの宣教師がよく似た植物として見出し、薬用として広まったのがアメリカ人参である。この人参は星条旗を意味する花旗を冠して花旗参とも呼ばれている。アメリカで栽培されたものが広東経由で東南アジアに輸出されるため広東人参という名もある。現在では中国でも栽培されている。

 根にはサポニンのパナキロンやジンセノサイドなどが含まれ、人参と同様な中枢神経に対する刺激や血圧降下、疲労回復などの作用が認められている。官報でも補気・滋陰清熱・止渇の効能があり、人参の代用として用いられる。

 人参に比べれば補気の力は弱いが、滋陰清熱の作用はかえって優れている。このため熱証の患者の滋養・強壮に適しており、高熱のために脱水となり、体力が弱ったとなどには西洋参を用いる。

 暑気あたりや夏かぜには石斛・麦門冬などと配合する(王氏清暑益気湯)。また最近の中国では白虎加人参湯の人参の代わりにしばしば西洋参が用いられているる