○コラーゲン
コラーゲン(膠原質)は高タンパク質のひとつで、ゼラチンやゼリーにもその類縁物質である。細長い繊維状を呈し、動物の組織の細胞間物質の主成分として、体重50キロの人なら3キロがコラーゲンであるとされ、特に皮膚、骨、腱などに多く含まれており、たとえば皮膚組織の70%はコラーゲンが占めるほどである。その弾力に富む頑丈な構造によって、細胞や組織が本来の機能を発揮できるように相互をしっかりとつなぎとめている体の接着剤ないし構造材であるともいえよう。近年、コラーゲンの種々のタイプが明らかにされて、皮膚や骨、目の水晶体、関節の軟骨にあるタイプなど、それぞれ性質の異なる15種ほどが知られるようになって入る。
絶えず新陳代謝を繰り返している体内ではコラーゲンの酸性が不可欠だが、コラーゲンは細胞の中でアミノ酸から作られ、それも全ての細胞ではなく、繊維芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、筋細胞など特殊な細胞でしか作られない。細胞内でできたコラーゲンは細胞外へ分泌されて必要な場所に定着し、繊維同士が縦横に繋がり合って立体構造を構築し、細胞の増殖を促進し、細胞の機能の活性化を促すという働きする。
こうした性質に注目して従来は化粧品の保湿剤として主に用いられてきたコラーゲンであるが、これを経口投与するマウスの実験(日本大学薬学部などによる)で、皮膚の保湿や新陳代謝の活性化が認められたところから、近年、飲むコラーゲンの研究開発が大きく進展することとなった。
コラーゲンが免疫機能を賦活する可能性が高いことを明らかにした実験は、大阪医科大学によって行われているが、実験では牛、豚、鯨など、由来も製法も異なる14種類のゼラチン(1%濃度の溶液を0.3mg)をマウスに1週間おきに注射、対照群には生理食塩水を注射して、3週間後に、全てにガン細胞を移植した。すると対照群は全部がガンになって死亡したが、ゼラチン溶液投与組にはガン細胞が見られないマウスがいたのである。この実験はさらに続き、生き残ったマウスにゼラチンを投与せずに再びガン細胞が移植されたが、1匹もガンにかからなかった。これはガン細胞に対する免疫をつかさどるマクロファージやリンパ球の抗体反応をゼラチンが賦活し、その活性が残存する結果であろうと考えられている。また、注射ではなく経口投与によっても成果を得ている実験もあるが、これほど好成績が得られるかどうかはまだ明らかにされていない。
多様な効果が期待されるコラーゲン飲料は、現在その多くが牛皮、豚皮、牛軟骨などを原料として、腸管で消化吸収しやすいように酵素発酵によって低分子化が図られており、用いる酵素の種類や分解法によって様々な特性を持つ多種類の製品が供給され、健康食品のみならず一般食品への活用も日に日に進んできている。
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