○苧麻根(ちょまこん)
中国からマレーシアを原産とするイラクサ科の多年草ナンバンカラムシ(Boehmeria nivea)の根を用いる。また茎皮を苧麻皮、葉を苧麻葉、花を苧麻花という。
古くから日本でも栽培され、野生化した帰化植物で、カラムシという名は韓国から渡来したことを表している。カラムシはチョマ(苧麻)ともいい、現在でも繊維用作物として各地で栽培され、茎の強い繊維を漁網や船舶用のロープなどの原料としている。弥生時代の遺跡からカラムシの布がみつかり、日本における最初の織物と考えられている。
根にはエモジン型アントラキノンが含まれ、止血作用が知られている。漢方では清熱・通淋・止血・安胎・解毒の効能があり、膀胱炎など(五淋)の治療や妊娠時の性器出血や胎動不安、小児の丹毒などに用いる。化膿性の皮膚疾患にはつき汁や煎液で患部を洗う方法もある。
苧麻皮や苧麻葉は肛門の腫れや痛み、泌尿器疾患、乳腺炎に、苧麻花は麻疹の治療に用いる。