○紅娘子(こうじょうし)
中国南部、インド、マレーシアなどに分布するセミ科のハグロゼミ(Huechys sanguinea)の乾燥した全虫を用いる。紅娘子は神農本草経に収載されている樗鶏としばしば混同されているが、現在では樗鶏は全く別の昆虫で、ハゴロモ科のシタベニハゴロモ(Lycorma delicatula)と考えられている。
ハグロゼミは体長1.5~2cmくらい、黒と赤の二色からなるチッチゼミに類する小型のセミである。このセミは皮膚を刺激する毒液を分泌するため、採取の時には手袋やマスクをつけて行う。成分としてはカンタリジンを含むという報告もあるが、不詳である。肢や翅を除いた後、米や小麦などと一緒に黄色くなるまで炒り、取り出してから粉末にして用いる。
漢方では攻毒・活血化瘀の効能があり、内服で無月経や瘀血、狂犬病、腰痛などに用いる。またに外用したり、発疱薬として皮膚病に用いる。