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木曜日, 6月 13, 2013

真珠

○真珠(しんじゅ)

 ウグイスガイ科やイシガイ科などの貝の体内にできる球体を真珠あるいは珍珠といい、その貝殻の真珠層を珍珠母という。日本ではウグイスガイ科のアコヤガイ(Pinctada fucata martensii)が養殖真珠として有名であるが、真珠は海水産のシロチョウガイ(P.maximz)、クロチョウガイ(P.margaritifera)、淡水産でもイシガイ科のカワシンジュガイ(Margaritifera laevis)などにできることがある。

 養殖品も天然品も市場に出ているが、装飾用にならないシジミ真珠を薬用にしている。貝川の内部にある外套膜が、異物にも膜の層を形成し、球状の真珠を作る。このため真珠の成分は、母貝も真珠層と同じで、ほとんどが炭酸カルシウム(CaCo3)で、有機物としていくつかのアミノ酸も含んでいる。養殖真珠では核に貝殻を用い、真珠の大部分は核である。

 薬理的には抗ヒスタミン作用などが知られている。漢方では安神・定驚・清熱・解毒・除翳・収斂生肌の効能があり、心肝の火を清して動悸や痙攣、目の混濁に用いる。

 動悸や心悸亢進には単独で、高熱による痙攣には犀角あるいは石膏などと配合する。消化性潰瘍には単独で用いて胃酸を中和する。また口内炎や咽頭の腫痛に牛黄と配合する(珠黄散)。また結膜炎には内服し、角膜混濁には点眼薬として外用する。さらに傷口の治癒促進や化膿症に外用する。

 珍珠母には平肝潜陽・明目安神・止血の効能があり、安神・定驚作用は真珠よりも弱いが、肝陽上升による眩暈、頭痛、動悸、不眠、鼻血や性器出血に用いる(安神補心丸)。なお古くから真珠の配合された化粧品、珍珠霜(パールクリーム)などが市販されているが、近年、真珠に含まれるコンキオリンというポリペプチドに保湿効果や皮膚細胞の活性効果が認められ、アンチエイジング効果も期待されている。