スポンサーリンク

金曜日, 2月 10, 2012

淫羊藿

○淫羊藿(いんようかく)

 メギ科の多年草で、日本の温帯から暖帯に分布するイカリソウ(Epimedium grandiflorum)や、本州中部以西に分布するトキワイカリソウ(E.sempervirens)の地上部全草を用いる。中国では主にホザキノイカリソウ(E.sagittatum)や心葉淫羊藿(E.brevicornum)などが用いられている。和名のイカリソウという名は花の形が錨に似ているためで、中国では葉の付き方から三枝九葉草と呼ばれている。

 淫羊藿は古くから代表的な強精、催淫薬として知られ、その名も雄の羊がこれを食べると1日に100回交合するという言い伝えによるものである。また、仙霊脾とか放杖草という別名もその効能を表している。

 成分にはフラボノール配糖体のイカリイン、エピメジンなどが20余種、そのほかアルカロイドのマグノフロリンなどが含まれる。イカリインには、一酸化窒素(NO)レベルを上昇させて海綿体血流を増やし、勃起状態を保つ物質を分解する酵素、PDE-5に対して阻害する作用があり、バイアグラと同じ効果があると説明されている。また、エピメジンには性ホルモンの分泌を促し、神経を刺激する作用がある。また淫羊藿の煎液には催淫作用のほか、抗ウイルス・抗菌作用、鎮咳・去痰作用などが報告されている。

 漢方では強壮・補陽・去風湿・強筋骨の効能があり、生殖機能の低下、老化に伴う衰弱、関節の痛みなどに用いる。インポテンツや遣精には仙芽・熟地黄・枸杞子・肉蓯蓉などと配合し、足腰の萎弱やしびれ感には杜仲・狗脊などと配合する。女性の月経不順や更年期の高血圧には仙芽・当帰・黄柏など配合する(二仙湯)。リウマチなどによる関節痛や筋肉痛、麻痺やしびれ感などに威霊仙・肉桂・川芎などと配合する。

 日本でも市販されている体力や精力の低下を補う滋養強壮薬やドリンク剤薬用養命酒などの薬用酒などに淫羊藿は幅広く配合されている。ただし淫羊藿は燥性が強く、服用しすぎると嘔吐・口渇・口苦・鼻血などの症状が出現する。