○沈丁花(じんちょうげ)
中国原産のジンチョウゲ科の常緑低木ジンチョウゲ(Daphne odora)の花を用いる。中国では宋の時代から栽培されているが、今日では栽培種ばかりで、自生種は発見されない。日本に渡来した年代は不明であるが、室町時代にはすでに栽培されていたという。
早春に芳香の強い花をつけるため、中国では瑞香と呼ばれている。また沈丁花という和名は沈香と丁香をあわせた匂いの花という意味である。ただし花弁のように見えるのは萼である。 花や葉にはクマリン類のダフニン、ウンベリフェロンなどが含まれる。民間療法では利咽・止痛の効能があり、咽頭の腫痛や歯痛にうがいや、内服薬として用いる。また中国では乳癌の初期に外用したり、リウマチの痛みに内服する民間療法もある。日本にも花や葉の煎じ汁で、腫れ物を洗う治療法がある。