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土曜日, 6月 23, 2012

漢防已

○漢防已(かんぼうい)

 従来、防已は漢防已と木防已とに区別されてきたが、いずれの基原植物に関しても日本と中国では異なっている。ただし今日の臨床では木防已はほとんど用いられず、漢防已のみを防已として用いている。

 漢防已として日本ではツヅラフジ科のオオツヅラフジ(Sinomenium acutum)のつる性の茎を用いるのに対し、中国ではツヅラフジ科のシマハスノハカズラ(Stephania tetrandra)などの根を用いている。しかも日本の漢防已であるオオツヅラフジの茎は中国でも青風藤と称して別に扱われている。現在、日本に中国産の漢防已は輸入されていない。

 オオツヅラフジの成分には鎮痛・消炎作用のあるアルカロイドのシノメニンが含まれ、かつて鎮痛薬として利用されていた。一方、シマハスノハカズラの成分ではテトランドリンというアルカロイドが注目されている。またシマハスノハカズラの近縁植物で日本の南西諸島や中国南部に産するタマサキツヅラフジ(S.cephalantha)の塊根は白薬子と呼ばれている。このタマサキツヅラフジに含まれるアルカロイドのセファランチンは、免疫増強剤や育毛剤などに用いられている。