○CMO
CMOはcetyl myristoleate(セチルミリストレイン酸エステル)の略。不飽和脂肪酸のミリストレイン酸のエステル化合物で、関節炎に対してグルコサミンやコンドロイチン硫酸を凌ぐ効果があると米国で注目された物質である。ミリストレイン酸はn-5系の脂肪酸だが、従来のn-3、n-6、n-9系の主要に扱ってきた栄養学ではまだ代謝の機構について十分に研究されていない。
CMOが哺乳類の生体に存在することは、1971年に米国国立衛生研究所(NIH)の研究員だったH・ディールによってスイスアルビノマウスの体内から発見されたが、その後、牛や鯨のほか、他のげっ歯類の動物でも確認されている。ヒトは進化の系統樹からみるとげっ歯類から遠くないため、ヒトの身体でも重要な役割をしている可能性があるという。
ディールは当時、各種動物に作用する消炎剤の研究をしていたが、その研究の一環として人工的に関節炎を起こさせるためフロイントアジュバント(熱処理したバクテリア)を動物に注射していた。その際、スイスアルビノマウスだけが炎症を起こさなかったことに気づき、炎症から身体を保護している物質としてCMOを特定した。予想通り炎症の保護をしていると推測できる結果が得られたのである。この消炎作用についてディールは、、哺乳類全体に適応できる手法として米国特許を取得している。