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火曜日, 3月 06, 2012

延胡索

○延胡索(えんごさく)

 浙江省をはじめとする中国各地で栽培されているケシ科の多年草エンゴサク(C.ambigua)、本州、九州、朝鮮半島、中国東北部に分布するヤマエンゴサク(C.lineariloba)など同属植物の塊茎を用いる。なおジロボウエンゴサク(C.decumbens)の塊茎や全草を中国では夏天無と称している。延胡索はかつて玄胡索という名であったが、宋代の眞宗の諱を避けて玄を延に改め、以来、延胡索と呼ばれるようになった。

 エンゴサクの塊茎にはアルカロイドのコリダリン、テトラヒドロパルマチン、コリブルビン、プロトピンなどが含まれ、コリダリンやコリブルビンには弱い麻痺作用、テトラヒドロパルマチンには鎮静・鎮痛作用が認められている。

 漢方では活血・理気・止痛の効能があり、胸痛、腹痛、脇腹部痛、月経痛、打撲痛などに用いる。延胡索は気血の流れを促進するため、「血中の気、気中の血を行らせる」といわれている。また止痛薬として気滞や血瘀による痛みに効果があり、「一身上下の諸痛を治す」といわれ、特に胃痛や月経痛の治療に優れている。日本でも胃薬や婦人用保健薬などの家庭薬にしばしば配合されている。止痛作用は乳香・没薬などよりも強く、酢で炒めれば止痛効果はさらに強くなる(醋延胡索)。