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金曜日, 1月 17, 2014

天麻

○天麻(てんま)

 日本、中国、台湾などに分布するラン科の多年草オニノヤガラ(Gastrodia elata)の根茎を用いる。雑木林の中の陰湿地に生える腐生ランの一種で、塊茎でナラタケの菌糸と共生して栄養分を作るため、オニノヤガラには葉緑素はなく、茎も黄赤色で背丈1mくらいに直立している。枝や葉もなく、赤っぽい棒状の様子を鬼の用いる矢に例えて「鬼の矢柄」と呼んでいるが、同じように神農本草経にも赤箭と記載されている。

 地価には直径が10cmくらいの偏平で楕円形の塊茎ができるが、これを薬用にする。アイヌはこの塊茎を煮て食用にしたともいわれる。一般に冬と春に採集し、春の方が多く採れるが、冬に採取したもの(冬麻)の品質が優れているとされる。

 天麻は高価な生薬のためジャガイモを乾燥させた「洋天麻(貴天麻)」と称する偽品も出回っている。しかし、1980年頃からオニノヤガラの栽培品が輸入されるようになり、価格はかなり下落した。

 天麻の有効成分の詳細は不明であるが、多量の粘液質やバニリルアルコール、バニリンなどが含まれ、バニリルアルコールには胆汁分泌作用や癲癇発作抑制作用が、また天麻のエキスには鎮痛作用が報告されている。漢方では平肝・定驚・止痙・止痛の効能があり、眩暈や意識障害、痙攣、頭痛、ヒステリー、関節痛などに用いる。