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月曜日, 6月 18, 2012

甘遂

○甘遂(かんすい)

 中国の陜西・河南・山西・甘粛省などに分布するトウダイグサ科の多年草カンスイ(Euphorbia kansui)の根を用いる。茎葉に傷をつけると白色の乳液が出る。この汁には毒性があり、かぶれることがあるので注意が必要である。

 属名のユーホルビアという名はローマ時代の医師エゥフォルブスにちなむといわれ、古くから薬として用いられていた。漢方生薬としてもカンスイと同属植物のトウダイグサ(沢漆)、ホルトソウ(続隋子)、タカトウダイ(大戟)などがある。カンスイの根には有毒成分のカンスイニンA・Bやトリテルペノイドのα・βユーホルボール、チカロールなどが含まれている。薬理作用としては瀉下作用や利尿作用、強心作用などが知られている。

 漢方では通便・逐水の効能があり、大・小便の不通、浮腫、胸水、腹水などに用いる。激しい瀉下作用と利尿作用があるため、峻下遂水薬のひとつに分類され、臨床的には滲出性肋膜炎による胸水、肝硬変による腹水、腎炎による浮腫などに応用する。たとえば肋膜炎による胸水(結胸証)には大黄・玄明粉などと配合する(大陥胸湯)。ただし毒性が強く、激しい瀉下作用があるため、一般に妊婦をはじめとする体力の低下しているものには使用しない。