○紫石英(しせきえい)
紫石英は紫水晶(アメジスト:Amethyst)のことであったが、現在ではおもに紫色の蛍石(フルオライト:Fluorite)の鉱石が用いられている。また中国南部では方解石の紫色のものを紫石英として用いている。
蛍石はおもに熱鉱脈中に産し、加熱すると蛍光現象を示す。蛍石はハロゲン化鉱物のひとつで、主成分はフッ化カルシウム(Caf2)である。
漢方では重鎮安神薬のひとつで、安神・定驚の効能があり、動悸、不眠、頻脈、精神不安などに用いる。また止咳・強壮の効能もあり、老人の咳嗽や不妊症、性器出血などにも用いる。熱性痙攣や癲癇、脳卒中、麻痺の治療に竜骨・牡蠣などと配合する(風引湯)。神経衰弱や精神障害に人参・茯苓などと配合する(茯苓補心湯)。