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金曜日, 6月 08, 2012

栝楼仁

○栝楼仁(かろにん)

 中国産はウリ科のトウカラスウリ、日本産はキカラスウリの種子を用いる。キカラスウリは日本各地に自生しており国内で自給も可能いわれているが、近年はほとんどが輸入品である。トウカラスウリの根は栝楼根という。日本では果実のうち種子だけを用いるが、中国では果実全体を栝楼あるいは全栝楼、果皮を栝楼皮、種子を栝楼子と称し、区別して用いる。

 傷寒論・金匱要略の処方中に栝楼実とあるのは、本来は果実のことであるが、日本では一般に栝楼仁が用いられている。種子にはリノール酸やリノレン酸、トリコサン酸などの脂肪酸が含まれている。

 漢方では潤肺・化痰・通便・排膿の効能があり、咳嗽、粘祹痰、便秘、腫れ物、乳汁不足などに用いる。また栝楼皮も同様に化痰・寛胸・理気の効能があり、咳嗽、粘祹痰、咽頭痛、胸痛などに用いる。張仲景は「胸痺」といわれる狭心症などの胸痛症状にも用いているが、これは胸中の欝熱を除き、痰濁を降ろすといった寛胸の効能があると説明している。民間では尿や母乳の出をよくするために煎じて服用されている。