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金曜日, 3月 28, 2014

苦木

○苦木(にがき)

 日本の各地、東アジアにかけて広く分布するニガキ科の落葉小高木ニガキ(Picrasma quassioides)の樹皮を除いた材を用いる。どの部分も噛むと苦いためニガキという。ニガキ(苦木)というのは和名であるが、中国でも正式な植物名を苦木と定め、生薬として樹皮を苦樹皮あるいは山熊胆という。ちなみにニガキ科の植物にカッシア木、スリナム・カッシア(Quassia amara)やジャマイカ・カッシア(P.excelsa)というのがある。

 カッシア木は古くから苦味健胃薬、寄生虫の駆除、シラミなどの殺虫薬として用いられた。イギリスではスリナム苦木は消化不良の胃腸薬としてよく知られ、またジャマイカ苦木で作ったコップで水を飲むと胃腸が丈夫になるといわれていた。本来、苦木はアッシア木の代用品として日本薬局方に収載されるようになった。

 ニガキの樹皮にはジテルペノイドのクワッシン、ニガキラクトン、ニガキヘミアセタールなどが含まれ、苦味成分のクワッシンには唾液や胆汁の分泌促進や利尿作用がある。漢方では用いないが、太田胃酸などの家庭薬の苦味健胃成分として消化不良、吐き気、下痢などに応用されている。

 ニガキの葉を煎じた液は家畜の駆虫薬や農作物の殺虫薬として、また枝の削ったものを便槽に入れてウジの駆除などに用いられる。