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土曜日, 12月 15, 2012

牛皮消根

○牛皮消根(ごひしょうこん)

 日本の各地、南千島などに分布するガガイモ科のつる性多年草イケマ(Cynanchum caudatum)の根を用いる。北海道や新潟の山野林中に産し、イケマとはアイヌ語の「大きな根」という意味で、アイヌの霊草として知られている。

 有毒植物であるが、アイヌは若苗や根を水にさらし、煮て食用にしていたほか、薬用として食中毒や腹痛、感冒、切り傷などの治療に用いていた。ところが生馬という漢字を用いたため馬の治療薬という誤解が生じたこともある。

 イケマの根には強心配糖体やシナンコゲニンなどをアグリコンとする配糖体が多く含まれ、強心利尿作用がある。茎を切ると白い乳液が出るが、この茎を食べるとよだれが出て嘔吐し、さらに痙攣を引き起こす毒性がある。この有毒物質はシナンコトキシンという。近年、これに含まれるプレグナン配糖体の免疫増強作用や抗腫瘍作用が発表されている。

 浅田宗伯によれば牛皮消には和血・止痛の効能があり、打撲、出血に用いるほか、帯下の奇方としても用いていた。華岡青洲は八珍湯に牛皮消・川骨を加えた調栄湯を金創などの出血に用いた。また会津地方ではカラス退治にイケマの根を団子に入れて用いたと伝えられている。一般に利尿薬として用いられるが、毒性が強いため現在はほとんど使われない。